国土交通大臣は2月17日、JR東日本盛岡支社と岩手県北自動車(岩手県北バス)の2社が申請していた共同経営を認可した。盛岡~宮古を結ぶJR山田線の切符で岩手県北バスの都市間バス「106バス」を利用できる実証実験が本格導入に移行する。

共同経営の対象エリアになる駅・停留所は、JR東日本が山田線・盛岡~宮古の各駅。ただし上盛岡・山岸・上米内の3駅は対象外だ。「106バス」は盛岡駅前(東口)・区界・松草・川内・箱石・川井・腹帯・茂市・蟇目・花原市・千徳駅前・宮古駅前の各停留所が対象になる。現在の実証実験と同様、対象エリアで有効なJR線の乗車券類で「106バス」を利用できる。
仙台~宮古の運賃(実証実験開始前)は、JR線のみの利用で5170円。JR線と「106バス」を盛岡駅で乗り継ぐ場合は合計5610円だ。実証実験の開始後は、運賃が安いJR線のみの乗車券類でも「106バス」を利用できるようになった。この実証実験は昨年2024年4月1日に開始。期間は今年2025年3月31日までの1年間としていたが、共同経営の認可により4月1日以降も引き続きJR線の切符で「106バス」を利用できる。

2社によると、実証実験開始後(2024年4月1日~2025年1月31日)にJR乗車券類でバスを利用した人は1日あたり約34人。下り(宮古行き)よりも上り(盛岡行き)のほうが2割程度多く、8割程度が盛岡~宮古の直通利用だったという。
JR盛岡支社は「公共交通の利便性向上につながったものと考えています」とコメント。岩手県北バスは「地元利用に加えて、発着地が仙台や首都圏のお客さまも多く、当初の想定以上に首都圏など県外からのニーズがあることがわかりました」としている。
独占禁止法は事業者間協議による運行回数などの調整を禁じているが、特例法は共同経営の認可を受けることを条件に事業者間協議による調整を認めている。これまでに熊本エリアや長崎エリアのバス事業者が共同経営の認可を受けている。鉄道・バスの共同経営は徳島エリア(JR四国と徳島バス)や広島エリア(広島電鉄や広島バスなど)で導入されている。
《関連記事》
・利用者少ないローカル線で「大幅増発」JRの切符で並行バス利用可能に 岩手・山田線
・JR山田線・盛岡→宮古の最終列車「昼間」に 中間の山間部で上下各1本減便