韓国の首都ソウルで大規模な鉄道地下化構想が浮上している。ソウル市は10月23日、「鉄道地下化統合開発計画」を発表。韓国政府の国土交通部に提案した。
ソウル市によると、同市内で地上に線路を設けている鉄道は6路線の合計約71.6km。構想では京釜(キョンプ)線エリアの34.7kmと京元(キョンウォン)線エリアの32.9km、合計67.6kmを地下化し、市内の鉄道の大半を地下化する。日本の鉄道なら東京のJR山手線(1周34.5km)の2周分に近い。
線路の地下化により創出される地上の敷地は122万平方m。ソウル市は大規模な緑地公園や業務・商業・文化の各施設を整備する考えだ。
韓国では鉄道の地下化を推進するための法律が1月に制定され、国土交通部が10月25日まで「先導事業地」として各自治体からの地下化の提案を受け付けていた。ソウル市によると、地上の鉄道は騒音や振動による生活環境の悪化に加え、市内中心部と生活圏の分断などが課題になっている。鉄道の地下化でこうした問題を解決し、都市の発展と競争力の強化を図れるという。
ソウル市の試算では、地下化の事業費は25兆6000億ウォン(約2兆8500億円)。地下化後の地上線路敷地の開発による利益は31兆ウォン(約3兆4500億円)を見込む。ソウル市は同市の地下化構想が先導事業地に選定された場合、早ければ3年後の2027年からの事業着手が可能になるとしている。
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