愛知環状鉄道は12月20日、国土交通省の中部運輸局長に旅客運賃上限変更認可を申請した。全体の改定率は14.3%。認可された場合、愛知環状鉄道は2025年春に運賃を値上げする。同社が運賃改定を申請したのは、消費税率の引き上げによるものを除くと1988年の開業以来初めて。
普通旅客運賃の上限は、初乗り(1~3km)が現行180円のところ30円値上げの210円。4~25kmは40~90円の値上げで、26km以上は一律100円の値上げ。46kmは現行890円から990円に変わる。
定期旅客運賃の上限は、通勤1カ月が1~3kmで1100円値上げの8370円。46kmでは3970円値上げの4万60円になる。通学1カ月は1~3kmが240円値上げの4920円、46kmは1140円値上げの2万3930円だ。普通旅客運賃に比べ改定率を抑え、通学定期は通勤定期の3分の1程度の改定率に抑えた。
愛知環状鉄道は東海道本線の岡崎駅と中央本線の高蔵寺駅を結ぶ45.3kmの愛知環状鉄道線を運営する第三セクター。国鉄岡多線の岡崎~新豊田(JR東海が暫定継承)と、鉄道公団(現在の鉄道・運輸機構)が建設中だった岡多線・瀬戸線の新豊田~高蔵寺を引き継ぎ、1988年に開業した。
同社によると、新型コロナウイルス感染症の5類移行後も、テレワークの定着などによる通勤利用者の減少で輸送需要の回復が低調傾向。少子高齢化や自動車利用が多い地域特性もあり、輸送人員はコロナ禍前の水準に戻らないことが見込まれる。
これに加えて電気料金の高止まりや資材価格の高騰による経費増大、施設の老朽化対策などへの投資があり、現行運賃のまま鉄道事業を安定して継続するのは難しいことから、運賃改定を申請したという。
鉄道部門収支は、昨年度2022年度の実績で1億9322万7000円の赤字。2025~2027年度の平年度3年間の推定では、現行運賃のままなら14億5896万9000円の赤字のところ、今回申請した運賃改定を実施すると赤字額は2678万9000円に圧縮される見込みだ。
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