東京メトロ有楽町線の豊洲駅「ホーム増設」で混雑緩和へ 分岐線の図面など公表



東京都と東京メトロの2者は8月21日、東京メトロ有楽町線・豊洲駅(江東区豊洲4丁目)にホームを増設することを明らかにした。2030年代半ばの開業を目指す有楽町線分岐線・豊洲~住吉の都市計画素案とあわせ計画の概要が公表された。

有楽町線の豊洲駅。分岐線が入るスペース(右)は暫定的に仮設ホームを設置してホームを拡張している。【撮影:草町義和】

豊洲駅改良計画の概要によると、豊洲駅の北側に新木場方面行きのホームを1面増設し、エスカレーター・エレベーターも増設してバリアフリー設備の充実を図る。これに伴い同駅とその周辺の都市計画も変更。変更案によると変更区間は豊洲3丁目~豊洲4丁目の約370mで、現在の豊洲駅の範囲を北側に拡張する。

豊洲駅改良計画の概要。新木場方面行きのホームを増設する。【画像:東京都・東京メトロ】
豊洲駅の平面図。【画像:東京都・東京メトロ】

有楽町線の豊洲駅は1988年に開業。島式ホーム2面4線の地下駅で、このうち内側の2線は将来の分岐線の線路用地として開業当初から整備されていた。

同駅の1日平均の利用者数(乗降人員)は2005年度まで5万人台で推移していたが、ゆりかもめ豊洲駅の開業や周辺地区の開発の進展で急速に増加。コロナ禍前の2019年度は22万7843人(東京メトロ線内で第7位)まで膨れあがった。このためホームの混雑が激しくなり、現在は暫定対策として内側2線の線路をまたぐ仮設ホームを設けてホームを拡張している。

仮設ホームは今後、分岐線の整備にあわせて撤去する必要がある。また、2者は「駅利用者の傾向は今後も変わらないと見込まれる」とし、恒久的な混雑緩和対策としてホームを増設することにしたという。

駅は島式ホーム1面2線

2者は豊洲駅改良計画のほか分岐線の整備に伴う都市計画素案も公表した。都市計画名は「東京都市計画 都市高速鉄道第8号線分岐線」。計画区間は豊洲~住吉の約5.2kmだが、都市計画を変更する区間は豊洲4丁目~住吉2丁目の約4.9kmになる。

有楽町線分岐線の平面図。【画像:東京都・東京メトロ】
有楽町線分岐線の縦断面図。【画像:東京都・東京メトロ】

分岐線は今年2022年3月に東京メトロが第1種鉄道事業許可を受けており、鉄道プレスネットは5月に事業基本計画や平面図など許可の概要を報じた。今回公表された都市計画素案の平面図や縦断面図と比較したところ、ルートは鉄道事業許可を受けた時点からの変更はないとみられる。

公表された図面などによると、全区間を地下式で建設。豊洲駅を起点に豊洲小学校横の特別区道江257号の地下を通過する。豊洲運河と平久運河を横断して三ツ目通りとの交差部の豊洲寄りに枝川駅(仮称、江東区枝川2丁目)を設置。その後、汐見運河や京葉線、JR越中島貨物駅、東京メトロ車両基地の地下を横断する。特別区道468号の地下を北上し、永代通りとの交差点付近に東陽町駅(仮称、江東区東陽3丁目)を設けて東京メトロ東西線の東陽町駅との連絡を図る。

東陽町駅からは四ツ目通りの地下を北上。仙台堀川を横断したあと、千石2丁目交差点付近に千石駅(仮称)を設ける。その後、小名木川を横断して終点となる東京メトロ半蔵門線の住吉駅に至る。住吉駅は地下2層の島式ホーム2面4線で、このうち現在は留置線として使われている2線に乗り入れる形になる。

東京メトロ半蔵門線の住吉駅。現在の留置線(左)に分岐線が乗り入れる。【撮影:草町義和】

豊洲駅の住吉寄りと枝川・東陽町・千石の各駅は地上から地下へ縦に掘る開削工法、それ以外の駅間は横からトンネルを掘り進むシールド工法で建設する予定。複線シールドトンネルで建設するが、千石~住吉は住吉駅の2層ホームに接続するため単線シールドトンネルを2本建設する予定だ。

駅部の横断面図。【画像:東京都・東京メトロ】
駅間部(複線シールド)の横断面図。【画像:東京都・東京メトロ】
千石~住吉は単線シールドトンネル2本を建設する。【画像:東京都・東京メトロ】

分岐線に整備される駅は島式ホーム1面2線。箱型の地下トンネルで幅は約11~19mになる。シールドトンネルは円形で幅は複線シールドが約10m、単線シールドが約7m。

東京都と東京メトロは今後、都市計画と環境影響評価の手続きを進め、工事の着手を目指す方針だ。

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