堺市が実施している南海本線の連続立体交差事業(連立事業)の完了時期が6年延期される見通しになった。事業費も現在の見込みより6割ほど増加する。

この連立事業は、石津川駅南側の堺市西区浜寺石津町中から羽衣駅北側の高石市東羽衣1丁目まで約2.7kmを事業区間として線路を高架化するもの。7カ所の踏切を解消するとともに諏訪ノ森・浜寺公園の2駅を高架駅に変える。この区間の線路が高架化されると、南海本線は難波駅から高石駅の北助松寄りまで高架線になる。

2005年の都市計画決定と2006年の事業認可を経て着手した。当初は2017年度末の完了予定だったが工事が大幅に遅れており、現在の認可上の事業施行期間は2027年度末までとされている。
堺市によると、事業費はこれまで約423億円としていたが、6割ほど増加の約679億円になる見込み。鉄道構造物設計基準の改訂による構造物の変更などで155億1000万円増えるほか、土壌汚染対策や地盤改良の追加などでも26億1000万円増加し、これに近年の材料費や労務費の高騰(75億円増)を反映する。
また、高石市側で実施されていた連立事業の高架切替時期の影響を受け、工期が5年増加。コロナ禍による活動制限に加え、仮線工事で地盤改良の必要も生じたことから工期が1年増加し、合計6年の増加になる。この結果、高架線への切替予定時期は従来の2024年度末から6年延びて2030年度末に変更。事業の完了予定時期も6年延期して2033年度末に変更するという。
今年2025年3月時点の事業進捗状況は、用地買収率が面積ベースで約99%。事業費の執行額ベースでは44%に達している。
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