JR東日本とパリ交通公団「フィリピン鉄道新線」運営目指す 共同入札に向け覚書



JR東日本とフランス・パリ交通公団(RATP)の子会社「RATP Dev」は、フィリピンで工事中の南北通勤鉄道(NSCR)の運営への参画を目指す。JR東日本とRATP Devの2社は10月16日までに、NSCRの維持・運行管理事業の共同入札に向け覚書を締結したと発表した。

JR東日本とRATP Devの覚書署名。【画像:RATP Dev】

NSCRはフィリピンのクラーク国際空港~マニラ首都圏~カランバを結ぶ全長約147km・36駅の鉄道新線。JR東日本グループの総合車両製作所(J-TREC)やスペインのCAFが製造する電車が導入される。

JR東日本は「JR東日本とRATP Devは戦略的協力関係を構築して本事業に参画し、サステナブルで信頼性の高い公共交通サービスを提供することで、フィリピン共和国の経済的かつ社会的発展に貢献することを目指します」としている。

RATP Devは「NSCRプロジェクトはフィリピンで最も野心的なプロジェクトの一つ。2社にとって大容量ネットワークの管理における独自の専門知識を活用する大きなチャンスになる」としている。

フィリピン南北通勤鉄道のルート(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】
フィリピン南北通勤鉄道に導入されるJ-TREC製の電車。【画像:フィリピン運輸省】

RATPはフランスの首都パリとその周辺部の地下鉄・バス・近郊鉄道・トラムを運営している公共交通事業者。その子会社のRATP Devは15カ国で公共交通を運営している。

NSCRの総事業費は約8740億ペソ(約2兆2600億円)。アジア開発銀行(ADB)と日本の国際協力機構(JICA)が融資している。2028年には一部開業の予定だが土地収用の難航で工事は遅れており、開業が延期される可能性も浮上している。

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