阪急電鉄「マニラLRT1号線事業」運営・保守会社に出資 海外鉄道事業に本格参入



住友商事・阪急電鉄・国際協力機構(JICA)の3者は5月7日、住友商事が保有するフィリピンのライト・レール・マニラ・コーポレーション(LRMC)の株式の一部を阪急電鉄とJICAに譲渡する契約を締結したと発表した。LRCMはマニラLRT1号線の運営・保守事業者。阪急電鉄が海外の鉄道事業に本格参入するのは、これが初めてになる。

阪急電鉄(左)とマニラLRT1号線(右)の列車。【撮影:鉄道プレスネット(左)、画像:住友商事・阪急電鉄・JICA(右)】

マニラLRT1号線は、フィリピン・マニラ首都圏の鉄道路線。高架・普通鉄道方式の軽量軌道交通(LRT)で、フェルナンド・ポー・ジュニア~バクラランの約20km、20駅を結ぶ。軌間は阪急線と同じ1435mmの標準軌で最高速度は80km。今年2024年中には約7kmの南部延伸区間が開業し、5駅が新設される予定だ。

フィリピン運輸省傘下のライト・レール・トランジット・オーソリディ(LRTA)が施設を保有し、2015年からはLRCMが運営・保守を行っている。2020年に住友商事がLRT1号線事業に出資参画した。JICAはこれまでも円借款を通じてマニラ首都圏の鉄道整備を支援しており、過去にはマニラLRT1号線の輸送力増強を実施している。

マニラ首都圏の軌道系公共交通の路線図。【画像:住友商事・阪急電鉄・JICA】

3者は「それぞれの強み・知見を生かし、LRMCやLRMCの他株主と共に、LRT1号線の更なる利便性・安全性の向上に取り組むことで、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に貢献します」としている。

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