日立製作所は11月17日、同社グループの日立レールがフィリピン運輸省から通勤鉄道向けのシステムなどを受注したと発表した。契約金額は約1140億円。
マニラ首都圏と近接する地域を結ぶ南北通勤鉄道・カランバ~クラークの147kmのうち約35.4km、9駅が新設される区間について、デジタル信号を含む鉄道システムの提供と軌道工事に関する契約パッケージを受注した。国際協力機構(JICA)の円借款の資金が使用される。
日立レールは欧州列車制御システム(ETCS)の「レベル2」を南北通勤鉄道に導入する。日立製作所によると、ETCSの信号システムは列車の動きと制限速度を監視するとともに、列車の効率的な運転を可能にしてエネルギー消費を削減。レベル2の信号システムは緊急時と制限速度超過時に緊急ブレーキなどを自動的に作動させることで安全性を大幅に高めることができるという。
日立製作所は今回の受注で「フィリピンでの急速な持続可能性推進の流れの中で、本プロジェクトは温室効果ガス排出を削減し、自動車に比べて環境に優しい公共交通の利用を促進します」とコメントしている。
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