東京メトロ「都内初の登録有形文化財」橋梁など4件、紀勢本線の旧駅舎も



文化庁の文化審議会は11月24日、新たに290の建造物を登録有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申した。鉄道関係では東京メトロが所有する橋梁や駅出入口上屋などの登録が答申された。

中野車両基地で保存されている丸ノ内線の旧型車両。【撮影:草町義和】

東京メトロの建築・土木構造物は「丸ノ内線四ツ谷跨線橋」「丸ノ内線御茶ノ水橋梁」「丸ノ内線御茶ノ水駅出入口上家」「銀座線浅草駅4番出入口上家」の合計4件が登録有形文化財に登録するよう答申された。

登録有形文化財への登録が答申された東京メトロ所有の建築・土木構造物。【画像:東京メトロ】

四ツ谷跨線橋は1959年に完成した、JR中央線をまたぐ長さ110mの跨線橋で鋼製4連桁橋。神田川に架かる御茶ノ水橋梁は鋼製1連桁、長さ36mで1955年に完成した。御茶ノ水駅出入口上家は2番出入口の上屋で1953年に完成。地上階のほぼ全面に水平連続窓を配置したモダニズム建築、鉄筋コンクリート造りの上家だ。

文化審議会は「特殊な構造で、JR線の見通しを確保」(四ツ谷跨線橋)、「桁高を抑えた函形の主桁で地下鉄に貴重な車窓景観を確保」(御茶ノ水橋梁)、「設計は土橋大野建築設計事務所。白色の外観で、水平連続窓を配したモダニズム建築の好例」(御茶ノ水駅出入口上屋)と評価した。

浅草駅4番出入口上家は1931年ごろに完成。切り妻で寺院建築をモチーフとした鉄筋コンクリート造りの上家だ。文化審議会は「反りのある屋根など日本趣味を採用した公共建築の好例」と評価している。

東京メトロによると、4件はいずれも建設から50年以上が経過。建設当時の意匠を保っていることが評価されている。御茶ノ水橋梁と四ツ谷跨線橋は東京都内の土木構造物としては初の登録有形文化財になるという。同社は「各施設の適切な維持管理を通じて文化財建造物を守り、地域の発展に貢献して参ります」としている。

飲食・物販店として活用されている湯浅駅の旧駅舎。【画像:つぎと】

このほか、「旧国鉄紀勢西線紀伊湯浅駅本屋」も登録が答申された。1927年に開業した国鉄紀勢西線の紀伊湯浅駅(現在のJR紀勢本線・湯浅駅)の駅舎として建設されたもの。新しい駅舎の整備に伴い、現在は湯浅町が所有して飲食・物販施設として活用されている。文化審議会は「外壁に縦長上下窓を並べ、戦前期の駅舎建築の様相を伝える洋風駅舎」と評価した。

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