頸城鉄道の旧本社・機関庫が登録有形文化財に 車両も動態保存している軽便鉄道



文部科学大臣・文化庁長官の諮問機関「文化審議会」は3月17日、新たに147件の建造物を国の登録有形文化財に登録するよう文部科学相に答申した。鉄道関係では新潟県上越市内にある「旧頸城鉄道旧本社(軽便鉄道資料館)」「旧頸城鉄道機関庫(くびき野レールパーク車両展示資料館)」の登録を求めた。

登録有形文化財への登録が答申された頸城鉄道の機関庫(奥)とホジ3号気動車(左)、2号蒸気機関車(右)。【画像:NEXT-EXIT/wikimedia.org/public domain】

頸城鉄道の旧本社は1942年の建設で2014年に改修。下見板張の2階建てで、妻面軒持送りにセセッションを取り入れたデザインになっている。機関庫は1914年の建設で1973年・2006年・2022年に改修。全長約40mで大空間をキングポスト・トラスの小屋組で実現し、南面に横長窓と高窓を連ねて外光を取り入れている。答申では「軽便鉄道の歴史を地域に留める」としている。

頸城鉄道線は新黒井~浦川原15.0kmの軽便鉄道。新黒井駅は信越本線の黒井駅に隣接し、頸城平野の東西を結んでいた。1914年に頸城鉄道(のちの頸城鉄道自動車、現在の頸城自動車=頸城バス)の路線として一部開業。1916年に全線開業した。軌間は762mmで国鉄在来線より狭かったのが特徴だった。

戦後の道路整備などで利用者が減少し、1971年までに全線廃止されたが、中間の百間町駅にあった頸城鉄道の旧本社や旧機関庫が残り、現在は「くびき野レールパーク」として車両の動態保存も行われている。このほか、終点の浦川原駅舎も残っており、かつて線路があった部分には北越急行ほくほく線(1997年開業)の高架橋が設置されている。

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