2024年の鉄道「新型車両」デビュー予定まとめ 「42年ぶり」モデルチェンジ車も



今年2024年も各地の鉄道で新型車両のデビューが予定されている。JR伯備線の特急「やくも」には42年ぶりに新型車両が導入されるなど、抜本的なモデルチェンジになる新型車両の導入も目立つ。既存車両の改造や中古車両の譲受車も含め、おもな新型車両の導入予定をまとめた。

上毛電鉄:800形(2024年2月)

東京メトロ日比谷線で運用されていた03系を2両編成に改造して導入。老朽化した700形(もと京王電鉄3000系電車)を一部置き換える。

800形のイメージ。【画像:上毛電鉄】

銚子電鉄:南海電鉄2200系(2024年2月ごろ?)

南海電鉄から2200系の2両編成1本を2023年8月に譲り受けた。銚子電鉄の現在の電車はすべて京王電鉄の車両だが、伊予鉄道に移ったあとに再び譲り受けた「中古の中古」。「中古の中古」ではない中古車両を導入するのは30年ぶりという。これにより2000形の2両編成1本が引退する。

南海電鉄の2200系。【画像:銚子電鉄・南海電鉄】

JR東日本:E8系(2024年3月16日)

山形新幹線「つばさ」の新型車両。東北新幹線に乗り入れる区間では最高速度を従来の275km/hから300km/hに引き上げ、東京~山形・新庄の所要時間を4分短縮する。従来車両のE3系1000・2000番台を順次置き換える。

山形新幹線「つばさ」に導入されるE8系。【画像:JR東日本】

JR西日本:273系(2024年4月6日)

伯備線の特急「やくも」の新型車両。「やくも」に新型車両が導入されるのは国鉄時代の1982年に導入された381系以来42年ぶりになる。横2+2列の普通席と横2+1列のグリーン席のほか、1区画2・4人分のグループ向け普通席「セミコンパートメント」を設ける。

これにより381系は6月末までに定期列車での運用を終了する見込み。定期運行のJR特急列車から国鉄車両が完全に消滅する。

伯備線の特急「やくも」に導入される273系。【撮影:草町義和】

JR東日本:SATONO(2024年春)

ハイブリッド気動車「HB-E300系」のうち2両編成の「リゾートあすなろ」をリニューアルして導入する観光列車。4人掛けボックスシートと2人掛けボックスシート、一人掛けシングルシートを採用し、2号車(34人)はリクライニングシートを採用する。

同じ「リゾートあすなろ」リニューアル車の「ひなび(陽旅)」(2023年12月デビュー)が北東北エリアで運行されているのに対し、「SATONO」は南東北エリアを中心に運行される。

「SATONO」のイメージ。【画像:JR東日本】

JR九州:「かんぱち・いちろく」(2024年春)

久大本線で運行される全席グリーン席の新しい観光列車。キハ47形改造車2両とキハ125形改造車1両の3両編成で、これまでJR九州の観光列車のデザインを一手に引き受けてきた水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所)ではなく鹿児島の建築デザイン会社「IFOO(イフー)」がデザインを担当する。

阪急電鉄:2000系・2300系(2024年夏)

阪急電鉄が11年ぶりに導入する新型車両。2000系は神戸・宝塚線用でロングシート仕様、2300系は京都線用でセミクロスシートになる。このほか、京都線の2300系には阪急初の座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」用の車両も導入。既存車両の9300系にもPRiVACE車を導入する計画だ。

2300系のイメージ。【画像:阪急電鉄】
PRiVACE車の側面イメージ。【画像:阪急電鉄】

JR西日本:はなあかり(2024年10月)

特急型気動車のキハ189系を改造して導入する3両編成の観光列車。大きなテーブルを備えたグリーン車2両と半個室タイプのスーペリアグリーン車1両で構成される。当初は北陸・近畿エリアの日本海沿い、敦賀~城崎温泉で運行。その後はエリアを変えながら西日本各地で運行される。

「はなあかり」のイメージ。【画像:designed by Yasuyuki KAWANISHI + ICH IBANSEN/nextstations/JR西日本】

仙台市営地下鉄:3000系(2024年秋)

南北線で運用されている1000N系の更新用として開発された新型車両。楕円(だえん)形のドア窓など1000N系のデザインを一部引き継ぎつつ、床とホームの段差の縮小など改良を図っている。

仙台港に陸揚げされたときの3000系。【画像:仙台市交通局】

近鉄:新型一般車両(2024年秋)

近鉄の一般車両としては16年ぶりに新造される新型車両。ロングシート・クロスシートを切り替えることができる「L/Cシート」を採用するほか、「ベビーカー・大型荷物対応スペース」を1両につき2カ所設置。座席のないフリースペースとは異なり、座席を設けて着席できるようにする。まず奈良線・京都線・橿原線・天理線に導入される予定。

新型一般車両のイメージ。【画像:近鉄】

福岡市営地下鉄:4000系(2024年秋ごろ)

空港線・箱崎線の老朽化した1000N系の更新用。ロングシートの中央部を切り欠くようにして大型荷物スペースを設置するなどの特徴がある。

4000系のイメージ。【画像:福岡市交通局】

京都丹後鉄道:KTR8500形(2024年中?)

JR東海の特急型気動車キハ85系4両を2023年に譲り受けた。このうち2両を実施に運用し、残り2両は部品取りになる。運行開始時期や運行区間などは未公表で、基本的には特急列車の予備車として運用する予定という。

京成電鉄:3200形(2024年度?)

京成電鉄が2022年7月に公表した中期経営計画に「編成車両数が変更できる新形式車両(3200形)の導入」が盛り込まれており、老朽化した3500形の更新用とみられる。3500形は4両編成と6両編成があり、4両編成を2本つないだ8両編成での運行も可能だ。

中期経営計画の計画期間は2022年度から2024年度(2024年4月~2025年3月)までのため、2024年12月までにデビューする可能性がある。ただし2023年5月に公表された投資計画では3200形の「設計を進めます」としているが、導入時期には触れていない。

西武鉄道:サステナ車両(小田急電鉄8000形)(2024年度)

西武鉄道は「他社から譲受したVVVFインバーター制御車両」を「サステナ車両」と定義し、東急電鉄9000系と小田急電鉄8000形を譲り受けてサステナ車両として導入する。大手私鉄がほかの大手私鉄から中古車両を譲り受けて導入するのは異例。

まず2024年度に小田急8000形がサステナ車両の第1編成として国分寺線に導入される予定。2024年12月までにデビューする可能性がある。

小田急電鉄の8000形。【撮影:草町義和】

嵐電:KYOTRAM(2024年度)

老朽化したモボ101形6両とモボ301形1両の更新用。先頭部の曲線的な形状が特徴だ。まず2024年度に1両が導入される計画で、2024年12月までにデビューする可能性がある。

「KYOTRAM」のイメージ。【画像:京福電鉄】

東武鉄道:野田線の新型車両(2024年度以降)

現在の野田線の列車は6両編成だが、東武鉄道は2022年4月、近年の利用状況を受けて5両編成化すると発表。5両編成の新型車両を導入するほか、6両編成の既存車両も1両減らして5両編成化する。新型車両は2024年度以降の導入予定とされており、2024年12月までにデビューする可能性がある。

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