東武鉄道のホームドア「など」設置、99駅に拡大 都心直通区間と野田線は全整備へ



東武鉄道は10月19日、鉄道駅バリアフリー料金の設定と整備等計画を国土交通省の関東運輸局に届け出た。来年2023年3月頃から運賃にバリアフリー料金を加算して実質値上げし、従来の計画よりホームドアなどの設置駅を増やす。

全駅へのホーム柵の整備が決まった野田線の馬込沢駅。【撮影:草町義和】

バリアフリー料金の加算額は定期外がICカード・切符ともに10円。通勤定期は1カ月600円、3カ月1710円、6カ月3240円を加算する。通学定期は加算しない。徴収期間は2023年3月~2039年3月で、期間中の総徴収額は919億8100万円。東武鉄道は2039年4月以降の継続も検討予定としている。

バリアフリー設備の整備期間は2021~2035年度。総整備費は962億6400万円で、2021~2025年度に259億9800万円、2026~2035年度に702億6600万円を投じる。2036年度以降の継続も検討される予定。

東武鉄道によると、これまでは東京オリンピック・パラリンピック競技会場の最寄駅や1日の利用者数が5万人以上の駅など40駅にホームドアを整備することを計画。これまで12駅で設置が完了している。

バリアフリー料金制度による新しい計画では「ホーム柵(可動式・固定式)」の設置駅を99駅に拡大。伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・日光線のうち東京都心への直通列車が停車する押上・浅草~東武動物公園~久喜・南栗橋の各駅と野田線(東武アーバンパークライン)の全駅、東上線の池袋~森林公園の各駅にホーム柵を整備する。

このうち85駅を2035年度までに優先整備する駅とし、2025年度までに新たに13駅に整備。東武スカイツリーライン・北千住~北越谷の各駅と東上線の東武練馬・下赤塚・成増の各駅に整備する。獨協大学前駅はバリアフリー料金制度による計画には含まれないが、国庫補助の活用で整備する。2035年度の時点では、東武スカイツリーラインの押上・浅草~北春日部と東上線の池袋~川越市、東武アーバンパークラインの全駅、伊勢崎線の久喜駅に整備される。

新しい計画による「ホーム柵(可動式・固定式)」の設置駅。【画像:東武鉄道】

ほかにも、1日の利用者数が3000人以上の駅や自治体が策定するバリアフリー基本構想の生活関連施設に位置付けられた2000人以上の駅(計128駅)について、原則としてすべてバリアフリー化。ホームと車両の段差・隙間の縮小やトイレの洋式化・リニューアル、バリアフリー設備の維持管理・更新などを推進する。

東武鉄道は今年2022年4月、鉄道駅バリアフリー料金制度を導入すると発表。「従来の計画(40駅)に加え、ホームドア整備対象駅の拡大を検討するとともに整備の推進を加速化します」としていた。

今回の発表では「ホームドア」という言葉を使わず「ホーム柵(可動式・固定式)整備をはじめ駅設備のバリアフリー化を促進する」としており、可動ドアを設けたホームドアとドアを設けない固定柵を組み合わせて整備するものとみられる。

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