新型コロナウイルス「緊急事態宣言」で通勤定期券も払い戻し特例 1年間払い戻し可能



JR旅客6社や大手私鉄などの鉄道各社局は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が4月8日に発出されたのに伴い、定期乗車券(定期券)の払い戻しに関する特例を通勤定期券などにも拡大した。4月8日以降に払い戻しを申し出た場合でも、原則として4月7日まで使用したものとみなして取り扱う。

JRの切符売場。【画像:けーちゃん。/写真AC】

JR東日本の場合、通勤定期券と大学生相当(大学・短大・専門学校等)の通学定期券について、4月8日以降に定期券を使用していなければ、特例により4月7日に払い戻しの申し出を受けたものとみなして払い戻し額を算出する。新幹線定期券「FREX」「FREXパル」も特例の適用対象だ。

一方、4月8日以降に定期券(Suica定期券はチャージ利用も含む)を使用した場合、その最終使用日に払い戻しの申し出を受けたものとみなして取り扱う。

有効期間が3月1日~8月31日の本八幡~東京間の6カ月定期券(通勤・大人、4万4260円)を4月7日まで使用して5月20日に払い戻す場合、通常は3~5月の3カ月間使用したとみなし、残り3カ月分が払い戻しの対象に。3カ月定期券1枚分から手数料を差し引いた2万6070円が払い戻される。

今回の特例を適用すると、5月20日に払い戻す場合でも使用期間は4月7日まで(3・4月の2カ月分)とみなされ、払い戻しの対象期間は5~8月の4カ月分に。3カ月定期券1枚分と1カ月定期券1枚分の合計額が払い戻し対象額となり、手数料を差し引いて3万5290円が払い戻される。

払い戻しできる期間も特例が設けられ、緊急事態終了日の翌日から1年間となった。現在の予定通り5月6日に緊急事態期間が終了した場合、2021年5月6日まで払い戻しできる。

このほか、普通回数乗車券(回数券)の払い戻しにも特例を適用。回数券の有効期間が過ぎてから払い戻しを申し出た場合でも、今年2020年4月7日に払い戻しの申し出を受けたものとみなして取り扱うという。

JR東日本以外のJR各社や大手私鉄なども、ほぼ同様の特例を設けて対応している。

全国の小中学校や高校が3月2日以降に臨時休校した際、多くの鉄道各社局は大学生相当を除く通学定期券に限り、同様の特例を定めて適用。緊急事態宣言の発出を受け、特例扱いする切符の対象を拡大した。

東京地下鉄(東京メトロ)の発表によると、4月8日は定期券売場に大勢の払い戻し客が殺到したため、17時30分頃から払い戻しの取り扱いを中止した。同社は払い戻しの期間が1年間あるとして、後日の払い戻しを検討するよう呼びかけている。