新潟県の加茂市は市内のスキー場で保存、展示している蒲原鉄道の電車「モハ1」について、屋根を整備して長期保存を図ることにした。同市の藤田明美市長は8月3日の記者会見で、クラウドファンディングを活用して屋根を整備する考えを明らかにした。
屋根の整備費は新潟県地域活性化事業の補助金から拠出。さらに経費の一部にふるさと納税型クラウドファンディングによる寄付金を使う。クラウドファンディングは8月20日~10月3日の期間、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」で受け付ける。
蒲原鉄道は信越本線の加茂駅と磐越西線の五泉駅を結ぶ21.9kmの鉄道路線(蒲原鉄道線)を運営。新潟県内では初の電化路線として1923年から1930年にかけて開業した。利用者の減少で加茂~村松間が17.7kmが1985年に廃止され、残る村松~五泉間4.2kmも1999年に廃止された。
モハ1は1923年の開業時に導入されたデ1形電車2両のうちの1両で、新潟県内では最古の電車だ。目黒蒲田電鉄(のちの東急電鉄目蒲線、現在の東急目黒線と東急多摩川線)が導入したデハ1形電車と同じタイプの木造電車で、戦後の1954年に引退した。その後は村松駅の車庫に設置され詰所として使われていたが、蒲原鉄道線の全線廃止を機に処分されることになり、加茂市が譲り受けた。現在は沿線のスキー場「冬鳥越スキーガーデン」で保存、展示されている。
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