JR貨物は9月10日、車両基地での車両整備作業時に検査データを捏造(ねつぞう)するなどの不正行為を行っていたと発表した。これを受けて同社は不正行為が確認された車両(合計564両)の運用を停止する。
不正行為が確認されたのは、北海道支社の輪西車両所(貨車309両)と関東支社の川崎車両所(貨車218両)、関西支社の広島車両所(機関車4両と貨車33両)。いずれも車輪と大歯車をはめあわせる作業(圧入作業)の際、検査結果が基準値を超えていた場合はデータを捏造するなどしていた。
輪西車両所では、圧入力が基準値を超過しているにもかかわらず、検査データを検査記録表に添付して検査を終了。川崎車両所と広島車両所では圧入力が基準値を超過した場合、検査記録表に基準値の上限の数値を記入したり、データそのものを基準値内のものに差し替えていたりしていた。
JR貨物は「作業担当者は、圧入力値が基準値を下回った場合は、車輪及び大歯車の固定に不具合が生じる可能性があると認識していましたが、基準値を若干超過する分には問題が無いものと認識していました」としている。
JR貨物は当面の対応として、不正が確認された564両について運用停止と車軸の検査を実施。また、不正行為を行っていた車両基地では作業体制を再整備するまで、車軸と車輪、大歯車などを組み立てる作業(輪軸組立作業)を停止するとしている。
JR貨物によると、7月24日に山陽本線・新山口駅で貨物列車の脱線事故が発生。これを受けて9月6日、広島車両所で輪軸組立作業の確認を行っていたところ、社員からの申告で検査データの捏造が判明したという。同社は「お客様をはじめとする関係の皆様の信頼を損ねることとなり、多大なるご迷惑・ご心配をおかけしておりますこと深くお詫びいたします」と謝罪した。
JR貨物の車両数(2024年4月1日時点)は、機関車が525両で貨車(財産上はJR貨物以外が所有する貨車を含む)は8685両。今回不正行為が確認された貨車は貨車全体の約6.4%を占めるとみられ、貨物列車の一部運休や減車などの影響が出てきそうだ。
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