JR九州は7月24日、同社の車両工場「小倉総合車両センター」(北九州市小倉北区)を移転すると発表した。開設から130年以上が過ぎていることから別の場所に新しい車両工場を建設し、施設や設備の老朽化に対応する。
移転候補地は同じ小倉北区内の東小倉駅。小倉駅から約1.8km門司寄りにあるJR貨物の貨物駅だが、2002年に営業を休止している。JR九州はJR貨物から東小倉駅の用地を取得し、小倉総合車両センターの機能を移転する考えだ。
JR九州は新しい車両工場の基本コンセプトとして、「新技術の導入及び効率的な検査ラインの構築によるコンパクトな車両基地」や「検査日数の短縮及び省人化による効率的な車両検査の実現」などを挙げている。敷地面積は現在の小倉総合車両センターが約15万8000平方mに対し、移転候補先の東小倉駅は半分ほどの約7万8000平方m。
JR九州は本年度2024年度末の用地取得を目指し、JR貨物と協議中。2031年度末ごろの完成を予定している。投資額の想定は約480億円。現在の小倉総合車両センター跡地の用途は検討中だ。
小倉総合車両センターはJR九州が保有するすべての在来線車両を対象に、車両の検査や製造、改造などを行っている。1891年、現在の鹿児島本線などを建設した九州鉄道の工場として開設された。1907年の九州鉄道の国有化で国鉄の小倉工場になり、1987年の分割民営化でJR九州の車両工場に。2011年の組織改正で現在の名称に変わった。今年2024年で開設から133年になり、施設や設備の老朽化が課題になっていた。
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