JR東日本は9月10日、中央線快速・青梅線で計画しているグリーン車サービスについて、来年2025年春からサービスを開始すると発表した。当初の計画から4年遅れ。サービス開始に先立ちグリーン車を連結した編成を順次導入し、当面はグリーン料金を払わなくても乗れるようにする。
2025年春からグリーン車サービスが始まるのは、中央線快速の東京~大月と青梅線の立川~青梅。現在は10両編成で運行されている列車に2階建てグリーン車2両を連結し、12両編成に増強する。連結位置は新宿・東京寄りから4・5両目で4両目はトイレ付き。車椅子に対応したトイレが付いている普通車は現在4両目だが、6両目に変わる。
増結される2階建てグリーン車の定員は2両合計で180人。両開き式ドアやスペースを広く取ったデッキ、自動回転式の座席を2階建てグリーン車として初めて採用する。これにより東京駅など折り返し駅での車内整備時間の短縮を図る。
座席は回転式リクライニングシートで、全席に電源コンセント・テーブル・ドリンクホルダーを設置。車内ではWi-Fiサービスを提供するほか、トイレやゴミ箱なども利用できる。首都圏各線のほかのグリーン車サービスと同様にSuicaグリーン券システムを導入し、グリーンアテンダントが乗務。サービス開始後のグリーン料金も首都圏のほかの各線と同じになる予定だ。
グリーン車を連結した12両編成は今年2024年10月13日以降、営業列車に順次導入する。ただし2025年春のサービス開始までは「グリーン車お試し期間」とし、グリーン車は営業上は普通車として扱う。グリーン券を購入する必要はなく、当面は運賃(乗車券類)を除き「タダ」で利用できる。
2024年10月13日~2025年春のあいだはグリーン車がない10両編成とグリーン車(普通車扱い)を連結した12両編成が混在するが、利用日当日ならJR東日本のスマートフォンアプリなどで12両編成の列車の走行位置を確認することができる。
JR東日本は2015年、中央快速線方面にグリーン車を導入すると発表。グリーン車を増結するため、これまで各駅のホームの延伸工事やグリーン車の新造を進めてきた。
当初は2020年度のサービス開始を目指していたが、バリアフリー化などほかの施策との工程の調整もあり、2018年にはサービス開始時期を2023年度末に延期すると発表。さらに2022年、世界的な半導体不足の影響を受けているとし、2023年度末から少なくとも1年遅れる見込みと発表していた。最終的に当初の予定から4年遅れになる。
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