JR貨物「すべての貨物列車を運行停止」データ捏造問題、物流各社に影響



JR貨物は9月11日、車両整備時に検査データを捏造(ねつぞう)するなどの不正行為があったことを受け、すべての貨物列車の運行を停止した。前日の9月10日の発表では合計564両で不正行為があったとしていたが、新たに約300両の貨車の整備でも不正が行われた可能性が浮上。運行を一時停止して緊急車両点検を実施する。

JR貨物の貨物列車。【撮影:草町義和】

JR貨物の貨物列車を利用している物流各社でも配達に遅れが生じるなどの影響が出ている。ヤマト運輸(9月11日16時30分時点)によると、9月10・11日に発送された荷物のうち、東京・関東~九州・北海道の荷物で1日以上の遅れが生じる見込みという。

佐川急便(9月11日15時30分時点)によると、全国から北海道・東北・関東・北陸・関西・九州向けの荷物で配達が遅れる可能性があるといい、9月11日以降に発送分の荷物では代替の輸送手段への切替も検討して遅延を最小限に抑えたいとしている。

福山通運(9月11日17時時点)は、四国→関東・近畿→関東・九州→関東・関東→九州の各区間で配送の遅延が発生していると発表。ただし同社の専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」は関東→広島を除きほぼ定刻で運行しているという。菓子メーカー「ブルボン」のオンラインショップも、荷物の配達に遅れが生じるとしている。

福山通運のコンテナを載せたコンテナ車。【撮影:草町義和】

国土交通省はJR貨物のデータ捏造を受け、9月11日から特別保安監査を実施。安全管理体制などについて確認を行い、今後の監査結果や報告などを踏まえて「厳正に対処する」としている。

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