小ロット輸出品「貨物列車で成田空港へ」実証実験 空港と鉄道貨物「接続」第一歩



成田国際空港社は8月14日、鉄道共同輸送サービスの実証実験「RAIL to NARITA LCLサービス」を行うと発表した。小ロットの輸出貨物を貨物列車などを使って成田空港まで運ぶ。

成田空港と貨物列車。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

この実証実験は、成田空港モーダルシフト推進協議会に交付されるモーダルシフト等推進事業費補助金を活用して実施するもの。関西エリアからの輸出貨物が対象になる。

関西の集荷拠点倉庫で鉄道コンテナに積み込み、トレーラーの共同輸送で百済貨物ターミナル駅へ。百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)から東京貨物ターミナル駅までは貨物列車で運ぶ。東京貨物ターミナル駅から再びトレーラーで共同輸送を行って成田空港周辺のフォワーダー施設に運び込み、成田空港から輸出する。

1パレット単位で申し込みでき、内国貨物・外国貨物ともに利用可能。トライアル利用料金は1パレットあたり5000円(内国貨物は税抜き、外国貨物は非課税)になる。実証実験の期間は8月から来年2025年2月までの予定。

「RAIL to NARITA LCLサービス」のイメージ。【画像:成田国際空港】
JR貨物の百済貨物ターミナル駅。【撮影:草町義和】

成田国際空港社によると、鉄道貨物は一度に大量輸送が可能で二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない一方、利用時はコンテナ単位での契約になることから、重量が軽く高価値な製品の輸送が多い航空貨物での利用が難しいという課題があった。

このほど、成田国際空港がプラットフォーマーとしてコンテナ1個に満たない貨物を混載して輸送するLCLサービスを立案し、JR貨物や日本フレートライナーが企画販売と輸送サービスの提供を実施。これにより小ロットでも利用可能な鉄道共同輸送サービスの実証実験を行うことになったという。

成田空港では新しい滑走路(C滑走路)の建設工事が現在行われており、それに伴い新しい旅客ターミナルや貨物施設(新貨物地区)を整備することも構想されている。成田国際空港社は「『新しい成田空港』構想の新貨物地区において、モーダルシフト推進のための航空貨物と貨物鉄道輸送をシームレスに繋ぐ仕組み作りを目指しており、本実証実験はその第一歩となります」としている。

現在の成田空港。【撮影:草町義和】
「新しい成田空港」構想による施設配置のイメージ。B滑走路とC滑走路(建設中)のあいだに新貨物地区を設けることが想定されている。【画像:成田国際空港】

成田空港は1978年の開港時、貨物列車を使った航空機の燃料輸送を行っていた。成田駅から成田線の佐原方面へ約2kmの成田市土屋に燃料基地を整備するとともに、燃料基地から成田空港まで暫定的なパイプラインを敷設。千葉港や鹿島港から燃料基地まで貨物列車で燃料を運んだ。1983年には千葉港と成田空港を結ぶパイプラインが完成し、貨物列車による燃料輸送は終了した。

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