中央本線・上諏訪駅付近の高架化「一時凍結」諏訪市が方針、西口広場の整備を推進へ



長野県諏訪市はJR中央本線・上諏訪駅とその前後の線路を高架化する連続立体交差事業(連立事業)について、事業化を一時凍結する方針を決めた。同市は今後、上諏訪駅西口広場の整備事業を推進する考え。

中央本線の上諏訪駅。【画像:メルH/写真AC】

この連立事業は上諏訪駅とその前後の約4.3kmを高架化し、17カ所の踏切を解消するもの。1964年に期成同盟会が設立され、1970年代後半には諏訪市の調査が始まった。しかし当時の国鉄が高架化を主張したのに対し、諏訪市が地下化を主張して対立。1982年には高架化を推進することが決まったものの、その後の国鉄分割民営化や国道20号のバイパス道の整備が優先されたこともあって調査や検討が進まなかった。

2015年9月に諏訪市が「駅周辺市街地あり方検討会」を設置したのを機に、上諏訪駅の高架化に加え橋上化も視野に入れた議論が始まり、同市は連立事業の再検証を行っていた。

連立事業の実施が想定されていたエリア(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

諏訪市は昨年2023年12月、高架化で解消される踏切17カ所のうち3カ所が国の採択基準に適合しないとする調査結果を明らかに。今年2024年3月27日に開かれた連立事業の期成同盟会では、事業費が約269億円かかるのに対して連立事業の実施で得られる社会的効果が約20億~40億円程度にとどまると報告した。

このため諏訪市は連立事業の一時凍結を期成同盟会で提案し、了承された。連立事業用として諏訪市が取得した上諏訪駅付近の土地は、西口広場の整備事業で活用される見込みだ。

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