中央本線の上諏訪駅「高架化」国の採択基準に適合せず 橋上化の構想も



長野県諏訪市は高架化の構想があるJR中央本線・上諏訪駅について、連続立体交差事業(連立事業)として高架化を実施する場合、国の採択基準に適合しないとする調査結果を昨年2023年12月に明らかにした。

高架化や橋上化が考えられている上諏訪駅。【画像:nozomi500/写真AC】

この構想は上諏訪駅とその前後の線路を高架化し、踏切を解消するもの。長野県が1994年度に実施した予備調査では、普門寺踏切付近から上諏訪駅を経て大和踏切付近までの約4.4kmを連立事業の検討区間とし、事業費は383億円と試算されていた。

諏訪市が1998年度までに実施した調査では、まちづくりと連動する赤羽根踏切付近~第3甲州街道踏切付近の3750m(高架部が2700m、取付部が合計1050m)を連立事業の実施区間として想定。国が定める連立事業の採択基準では、踏切交通遮断量(交通量×踏切遮断時間)が2万台時/日以上であることなどを定めており、このときの調査では採択基準に適合するととされていた。

しかし、2023年12月に諏訪市が明らかにした調査結果では、調査対象とした17カ所の踏切のうち3カ所の踏切交通遮断量が採択基準に満たなかったという。連立事業として採択されなければ国による事業費の補助を受けられないため、高架化の実現は難しくなる。

連立事業の実施が想定されているエリア(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

上諏訪駅は2015年ごろから橋上化の構想も浮上しており、橋上化の事業費は20億~50億円ほどとみられている。諏訪市は2021年12月に策定した総合計画で「長年の課題であるJR線の連続立体交差化事業、上諏訪駅舎老朽化に伴う橋上化の研究・検討、駅西口広場等周辺整備に対する具体的な検討が必要」との文言を盛り込み、高架化と橋上化の両方を視野に検討を進めている。

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