JR東京圏「1割安い時差定期」2023年3月18日から 通常定期の値上げ認可で届出



国土交通大臣は12月27日、JR東日本が申請していた通勤定期運賃の変更を認可した。これを受けてJR東日本は同日、「Suica時差通勤定期券(オフピーク定期券)」の実施運賃などを届け出た。来年2023年3月18日に東京電車特定区間の通勤定期運賃などを改定する。

東京電車特定区間内を走る総武線快速の列車。【撮影:草町義和】

改定の対象となるのは東京電車特定区間内で完結する区間の通勤定期券。従来の通勤定期券を値上げする一方、通常の通勤定期券より安いオフピーク定期券を設定することで朝ラッシュ時の混雑緩和などを目指す。

通常の通勤定期券の値上げ率は約1.4%。これに対しオフピーク定期券は通常の通勤定期券に比べ1割ほど安い額になる。これに通常・オフピークともに鉄道駅バリアフリー料金(1カ月280円・3カ月790円・6カ月1420円)が加算される。

総武線快速・千葉~東京39.5km(通勤1カ月)の場合、現在の運賃は1万9430円。運賃改定後(バリアフリー料金込み)は通常の通勤定期券が1万9980円で550円の値上げだが、オフピーク定期券は1万7760円で1670円の値下げになる。通常の定期券に比べ2220円安い。

東京電車特定区間の通勤定期運賃の現行額と改定額。【画像:JR東日本】

オフピーク定期券は通常の通勤定期券に比べさまざまな制限や条件がある。JR東日本の交通系ICカード「Suica」「モバイルSuica」に搭載するタイプのみ発売され、「PASMO」などほかのICカードに搭載するタイプや磁気式では購入できない。私鉄や地下鉄にまたがる場合は「Suica」「モバイルSuica」搭載タイプなら購入できる。

利用できるのは朝のピーク時間帯を除く平日の各時間帯と土曜・休日の終日。12月30日~翌年1月3日も終日利用できる。ピーク時間帯は各駅ごとに設定。中央線快速の場合、八王子駅と豊田駅が6時35分~8時05分で、吉祥寺駅は7時15分~8時45分がピーク時間帯として設定される。時間判定は入場駅の自動改札機で行う。各駅のピーク時間はJR東日本のウェブサイトで公開されている。

吉祥寺~東京のオフピーク定期券を購入した場合、吉祥寺駅を平日の7時00分に入場した場合と9時00分に入場した場合はオフピーク定期券を利用可能。平日の7時30分に入場するとピーク時間内のためオフピーク定期券は利用できず、IC普通運賃が別途必要だ。ピーク時間帯にオフピーク定期券を搭載した「Suica」を自動改札機にタッチすると、ピーク時の入出場である旨が表示される。

国土交通大臣は今回の認可を2026年3月31日までの期限付きとし、期限後の運賃は期限前に改めて申請するなどの条件を付けた。

このほか、東京電車特定区間内で完結する区間の普通運賃も2023年3月18日から鉄道駅バリアフリー料金が加算され、IC・切符の両運賃ともに実質10円の値上げになる。

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