東京都は2月2日、東京駅と臨海副都心を結ぶ地下鉄新線構想「都心部・臨海地域地下鉄」(臨海地下鉄)について、東京都、鉄道・運輸機構、東京臨海高速鉄道の3者が事業化に向けた事業計画の検討を行うことで合意したと発表した。
東京都は交通政策審議会が2021年7月に答申した「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」で臨海地下鉄が盛り込まれたのを受け、同年9月に事業計画検討会を設置。2022年11月に事業計画案を取りまとめていた。
事業計画案によると、ルートは東京駅(仮称)から有明・東京ビッグサイト駅(仮称)まで約6.1km。概算事業費は約4200億~5100億円で、費用対効果(B/C)は1以上になるという。また、今後の検討事項として東京駅への延伸が考えられているつくばエクスプレス線(TX)との接続や、羽田空港への乗り入れも盛り込んだ。
東京都は鉄道・運輸機構を整備主体、東京臨海高速鉄道を営業主体として事業に参画してもらうことを予定し、事業化に向けた検討を加速させるとしている。東京臨海高速鉄道も2月2日、臨海地下鉄の事業計画の検討を行うことについて、東京都や鉄道・運輸機構と合意したと発表。「さまざまな可能性に満ちた沿線エリアの更なる発展のため、今後とも着実な業務運営に努め、地域への貢献を目指してまいります」とコメントした。
東京臨海高速鉄道は、臨海副都心を経由して新木場~大崎の12.2kmを結ぶりんかい線を運営する東京都の第三セクター。臨海地下鉄の有明・東京ビッグサイト駅は、りんかい線の国際展示場駅付近に設けることが想定されている。
一方、JR東日本の羽田空港アクセス線(仮称)は山手線・京浜東北線の田町駅付近から東京貨物ターミナル付近を経て羽田空港に乗り入れる「東山手ルート」「アクセス新線」が2031年度の開業を目指して工事中だが、りんかい線とその車庫線を活用してアクセス新線に接続し、羽田空港に乗り入れる「臨海部ルート」の整備も構想されている。
東京都はりんかい線を運営する東京臨海高速鉄道を臨海地下鉄の事業に参画させることで、臨海地下鉄と臨海部ルートの接続による羽田空港への乗り入れも視野に入れた検討を進めるとみられる。
東京都の小池百合子知事は2月2日の定例記者会見で、東京臨海高速鉄道を参画させることについて「羽田との利便性を向上させるということは観光客や海外客の都心部へのアクセスを容易にしていける。通勤や通学と利便性を高めることは確実だと期待している」と話した。
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