りんかい線の新型車両「71-000形」内外装デザインなど発表 導入時期さらに遅れ



りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道は11月6日、現行車両の70-0000形電車に代わる新型車両の内外装のデザインなど概要を発表した。形式は「71-000形(ななまんいっせんがた)」。導入時期は従来の発表より遅れる。

71-0000形の外観イメージ。【画像:東京臨海高速鉄道】

前面のカラーリングは70-000形の色彩を継承しつつ「優しい微笑み」をイメージしたデザインとし、「臨海副都心を訪れる皆様に、より親しみを感じていただけるよう」にとの思いを込めた。側面のカラーリングはホームドアの高さを考慮して車両の腰部から上部にかけて配置。エメラルドブルーのグラデーションで「東京湾ウォーターフロントの水辺の空間」を表現した。

車体は70-000形に比べ幅を150mm拡大し、混雑時の圧迫感を緩和。外観は70-000形の丸みのある面影を継承しつつ「海や波のおおらかさ」を取り入れたデザインとし、前面上部のひさし形状が横方向への広がりを強調した。

また、先頭車両の前面に衝撃吸収材を設置。車両構体の剛性を高め、衝撃時の安全性を向上させる。車両の各機器を制御する列車情報管理装置のシステムや主要電気機器の二重系化により故障などの発生時に機能全体が停止することを回避し、輸送の安定性向上を図る。

車内は木目柄の妻部化粧板など70-000形の面影を残しつつ、白をベースにグレーやネイビーでまとめて「臨海副都心の洗練された都市景観」をイメージ。座席はグレーと青をベースにしたブロック柄で「都会的でクールな雰囲気」を表現した。優先席はピンクをベースにして「落ち着いた印象」を持たせたという。

71-000形の車内のイメージ。【画像:東京臨海高速鉄道】

座席は一人あたりの幅を10mm拡大。大型の袖仕切りを採用し、着席客の快適性向上を図る。袖仕切りにはガラスを使うことで開放感を高める。天井には影ができにくい「柔らかな明かり」となる照明を採用することで閉塞感の低減を図る。

ドア上部には2画面の液晶ディスプレイを設置し、乗換案内や運行情報、駅設備案内などの情報を提供する。空調装置の冷房能力は70-000形に比べ約20%向上させる。カビや花粉、菌、臭いなどに抑制効果がある機器を全車両に搭載する。

セキュリティ対策として防犯カメラを全車両に搭載するとともに、通話式非常通報装置も1両につき4台設置する。バリアフリー対策としては床の高さを50mm下げてホームとの段差を縮小。すべての車両にフリースペースを設けて車椅子やベビーカーを利用客の利便性を向上させる。荷棚・つり手も低い位置に設ける。ドアの開閉をチャイムとドア上部の表示灯の点滅で案内し、開いているドアの位置を聴覚的に案内する誘導鈴を設置する。

導入車両数は80両(10両編成8本)の計画。2025年度下期に第1編成の営業運行を開始し、2027年度上期中までに導入を完了させる計画だ。

りんかい線を走る東京臨海高速鉄道の70-000形。【撮影:草町義和】

りんかい線は東京臨海副都心へのアクセス路線として、1996年から2002年にかけ新木場~大崎の12.2kmが開業。JR埼京線との相互直通運転を行っている。JR東日本が所有する埼京線の車両は相互直通運転開始時は205系電車だったが、現在はE233系7000番台電車に更新された。

一方、東京臨海高速鉄道が所有するりんかい線の車両は、開業時の1996年に導入され2004年まで増備された70-000形が現在も使われている。2018年に東京臨海高速鉄道が策定した『経営改革プラン』に2022年度の新車両導入を目指すことが盛り込まれたが、2022年3月策定の中期経営計画では2024年に新型車両を導入するとしていた。今回の発表で導入がさらに遅れることが明らかになった。

東京臨海高速鉄道によると、2021年からの世界的な半導体不足が「トリガー」になり、納期が大幅に遅延。これを受けて車両完成後の試運転や訓練運転、関係各所との調整などのスケジュールを精査した結果、営業運転の開始時期が2025年度下期になったという。

※加筆しました。(2023年11月6日15時17分)

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