近鉄「新型一般車両」2024年秋導入へ 旧型更新の第1弾「座れるフリースペース」も



近鉄は5月17日、「新型一般車両」を2024年秋に導入すると発表した。投資額は約84億円。旧型車両の更新の第1弾となるもので、まず奈良線・京都線・橿原線・天理線に導入される。

「新型一般車両」の外観イメージ。【画像:近鉄】

車体外観は「近鉄伝統」の赤を配色。車両の先頭部には転落防止ほろを設置する。車内は花柄の座席表布や木目調の壁でデザイン。床の高さを下げて駅のホームとの段差を縮小する。

「新型一般車両」の車内イメージ(クロスシート時)。【画像:イチバンセン】

座席はロングシート・クロスシートを切り替えることができる「L/Cシート」を採用。各車両の両端に優先座席を配置し、このうち1カ所は車椅子スペースを併設する。また「ベビーカー・大型荷物対応スペース」を1両につき2カ所設置。座席のないフリースペースとは異なり、座席を設けて着席できるようにする。

えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」やJR西日本「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」などのデザインで知られる川西康之さんによると、川西さんが代表取締役を務める「イチバンセン」がプロジェクトの初期段階から関わっており、設計段階の現在はおもにインテリアを担当しているという。

上から見た車内イメージ。緑色のスペース・座席が「ベビーカー・大型荷物対応スペース」になる。【画像:イチバンセン】
ロングシート時の「ベビーカー・大型荷物対応スペース」の利用イメージ。【画像:イチバンセン】
クロスシート時の「ベビーカー・大型荷物対応スペース」の利用イメージ。【画像:イチバンセン】

また、大型液晶ディスプレイの車内案内装置を設置して次駅の案内などを表示。乗務員や運転指令者が車内を確認できる防犯カメラや、乗務員と通話できる車内通報装置も設置する。

先頭部に設ける転落防止ほろ(左)とドア上の車内案内装置(右)のイメージ。【画像:近鉄】

走行装置には新型のインバーター制御装置を採用。消費電力は従来車両に比べ約45%削減する。ヘッドライトや車内照明はLED照明を採用して省エネルギー化を進める。

まず2024年秋に40両(4両編成10本)を導入。奈良線・京都線・橿原線・天理線で運用し、その後も他線区に展開する予定だ。

近鉄は4月に発表した運賃改定申請の説明資料で、昭和40年代(1965~1974年)に導入した旧型車両(約450両)を2024年度以降、利用状況を見ながら必要分を順次新型車両に置き換えるとの文言を盛り込んでいた。

老朽化が進む近鉄の旧型車両。【撮影:草町義和】

新型一般車両が予定通り導入された場合、一般車両の導入は16年ぶり。近鉄が次世代一般車両として開発した「シリーズ21」の初導入からは24年ぶりとなる。

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