近鉄「新型通勤車両」16年ぶり導入へ 製造から半世紀「約450両」老朽車を更新



近鉄は4月15日の運賃改定申請にあわせ、2023年度から2025年度まで3年間の設備投資計画の概要を発表した。3年間の総額は861億円。老朽化した車両の新型車両への更新などを図る。

1960年代末期に製造された近鉄8000系のL88編成(写真は1995年)。【撮影:草町義和】

新たに取り組む施策として「一般車両の更新、車内防犯対策」(180億円)と「次世代の営業機器導入」(60億円)、「将来へ向けた技術開発」(30億円)を盛り込んだ。このほか、継続施策として「設備の健全性維持」(240億円)や「安全・防災対策」(120億円)、「駅の美装化・既存車両の改修」(110億円)、「バリアフリー整備加速化」(60億円)なども盛り込んだ。

設備投資額の推移や今後の計画額。【画像:近鉄】

近鉄の一般車両(通勤車両)は現在約1400両。このうち459両は昭和40年代(1965~1974年)の製造で、製造から半世紀前後が過ぎている。このため近鉄は「2024年度以降、お客様のご利用状況を見極めたうえで、必要分を順次新型車両に置き換える」とし、老朽化した約450両の更新を図る。

2024年度に新型の通勤車両が導入された場合、新造車両の導入は2008年まで製造された9020系・9820系・6820系以来、16年ぶりになる。このほか、車内防犯カメラの全車両への整備促進や、通話機能付き車内通報装置の設置拡大も図るとした。

バリアフリー化の整備では、ドアの位置や数の異なる車両に対応したホームドアの導入を進める。すでに大阪阿部野橋駅に導入済みで、2023~2025年度で計5番線分を整備する予定だ。このほか、次世代の営業機器として新型自動券売機やQRコード対応自動改札機の導入を推進。列車の自動運転化など将来の人手不足時代に対応するための技術開発も推進する。

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