スイスの世界最長トンネル「完全復旧」2024年9月2日に 脱線事故から1年



スイス国鉄(SBB)は6月27日、脱線事故の影響で単線運行が続いているゴッタルドベーストンネルについて、事故からほぼ1年後の9月2日に完全復旧する予定と発表した。

ゴッタルドベーストンネルを走る旅客列車。【画像:(C)SBB CFF FFS】

ゴッタルドベーストンネルは東側トンネルと西側トンネルの2本で構成され、このうち西側トンネルで脱線事故が発生。現在は東側トンネルによる単線運行と旧線を経由する暫定的な運行が行われている。

SBBによると西側トンネルの復旧工事は順調に進んでおり、8月中旬にも試運転を実施する計画。運輸省交通局の承認を得られれば9月2日から全面的に運行を再開する。所要時間は旧線経由に比べ1時間短縮。スイスからイタリアのボローニャ・ジェノバ方面への直通列車が再開されるほか、バーゼル~ルツェルン~ミラノを結ぶ都市間優等列車(ユーロシティ)やフランクフルト~チューリッヒ~ミラノの3国間接続も再開されるという。

復旧工事が進むゴッタルドベーストンネル。【画像:(C)SBB CFF FFS】

ゴッタルドベーストンネルはアルプス山脈のゴッタルド峠付近を南北に縦断する鉄道トンネル。2016年に開通し、鉄道トンネルとしては青函トンネル(約54km)を抜いて世界最長(約57km)になった。

ゴッタルドベーストンネルの位置。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】
貨物列車が脱線した直後のゴッタルドベーストンネル。【画像:(C)SBB CFF FFS】

昨年2023年8月、西側トンネルを走っていた貨物列車が脱線し、線路や路盤が損傷して不通に。SBBは当初数カ月以内に完全復旧するとしていたが線路や路盤の損傷が激しく、同年11月には完全復旧の時期を事故からほぼ1年後の今年2024年9月に延期すると発表していた。

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