富山地鉄の電鉄富山駅付近「高架橋工事」まもなく着手 2026年度の完成は微妙か



富山県は4月28日、本年度2023年度当初予算分の「土木関係公共事業等箇所付け」を発表した。427カ所に370億1200万円を配分。富山市内で実施している富山駅付近連続立体交差事業には、街路事業費として26億3800万円を配分する。すでに仮線への切替工事が完了しており、5月から高架橋工事が始まる予定だ。

仮線に切り替えられる前の電鉄富山駅。【撮影:草町義和】

この連立事業は、あいの風とやま鉄道線(旧・JR北陸本線)とJR高山本線が乗り入れる富山駅付近と、同駅に隣接する富山地鉄本線の電鉄富山駅付近を高架化するもの。このうちあいの風とやま鉄道線とJR高山本線は高架化が完了している。

残る富山地鉄本線の高架化は総事業費が124億円。電鉄富山駅を含む約1.0kmが事業区間で、このうち約0.7kmが高架構造の区間になる。2019年11月の事業認可を経て着工し、昨年2022年12月3日までに営業線の仮線への切替が完了した。2023年度は高架橋工事を実施する計画で、5月から高架橋の基礎工事が始まる予定だ。このほか、あいの風とやま鉄道線の仮線の撤去工事も実施する。

富山地鉄本線の事業区間。【画像:富山県】
富山駅と電鉄富山駅の横断面図。【画像:富山県】

認可上の事業施行期間は2026年度までだが、富山県は昨年2022年11月、工事費や工期の見直しを検討していることを明らかにしている。2026年度中に完成するかどうか微妙な情勢だ。

富山県によると、富山地鉄本線の高架化は北陸新幹線に近接する場所での工事になる。JR西日本と協議を進めた結果、新幹線の安全運行を確保するため夜間施工となり、作業効率の低下や人件費の増加が見込まれている。

また、この工事では低い位置での作業が可能な特殊なクレーンを複数台調達する必要があり、この特殊クレーンは国内でも保有台数が限られているといった課題を抱えている。ほかにも資材納入の遅れや価格高騰による工事費の膨張が懸念されるという。

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