国交省「京王線事件」受け改めて対策 「ドアずれ」も開放基本、ドアコック案内共通化

国土交通省の鉄道局は12月3日、京王線車内傷害事件などの発生を受け、改めて対策を取りまとめたと発表した。

京王線の列車。【画像:しろかね/写真AC】

11月2日に開催されたの緊急安全統括管理者会議では、乗客の安全な避難誘導の徹底を指示。非常通報装置のボタンが複数押され、その内容が確認できない場合は緊急事態と認識し、基本的には速やかに適切な場所に停止させ、防護無線の発報などによりほかの列車の停止も図るものとした。

京王線の事件では、列車のドアがホームドアの開口部からずれた位置で停車。車両のドアとホームドアが開かず、乗客は窓からホームドアを乗り越えて脱出した。このような場合でも「ホームドアと列車のドアの双方を開け乗客を安全に誘導・救出することを基本とする」と明記した。

非常通報装置や非常用ドアコック、ホームドアの取扱装置については、路線の特性や装置の機能に応じ、ピクトグラムも活用した表示方法の共通化を検討。利用者には乗車時に非常通報装置の位置を確認することや、非常時にはちゅうちょせず非常通報装置のボタンを押すことを呼びかけるようにする。

車内防犯設備の充実も、費用負担のあり方などを含め検討を開始。車両の新造時や大規模改修時に車内防犯カメラを設置することや、非常通報装置の機能向上などにより車内状況を映像・音声で速やかに把握できる方法を検討する。

手荷物検査の実施に向けた環境整備も盛り込んだ。7月に改正された鉄道運輸規程では、利用者の手荷物検査をできるようにするとともに、応じない場合は駅などの鉄道施設内から退去を求めることができるようになった。手荷物検査の実施について利用者に対し理解・協力を求めるとともに、車内持込みが禁止されている物品について分かりやすい周知を図るものとした。不審者を発見した場合の対処や検査ノウハウの共有、訓練の実施などについて、警察との連携を図る。

国交省はこれらの対策を順次実施し、鉄道のセキュリティ確保に取り組むとしている。

国交省は8月6日に発生した小田急線車内傷害事件を受け対策を取りまとめ、同省や鉄道事業者で対策を進めていた。しかし10月31日には京王線車内傷害事件が発生したことから、再度JRや大手私鉄、公営地下鉄などの鉄道事業者と意見交換を実施し、今回改めて対策を取りまとめた。

国交省によると、小田急線事件が発生した8月6日から京王線事件発生後の11月26日までのあいだに、鉄道事業者と警察などによる合同訓練が86件実施された。これらの訓練では、車内で不審者が刃物を振り回すことや液体を散布することを想定したもの、さすまたや防護盾など装備品の使用方法の訓練、ホームドアの機能や緊急時の取扱いなど鉄道側の設備に関する説明を含めた避難誘導訓練が行われている。年内にも100件以上の合同訓練が予定されているという。

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