能勢電鉄の妙見山ケーブルカー「廃止」リフトなども営業終了へ



能勢電鉄は6月23日、妙見山(大阪府・兵庫県)で展開している「妙見の森関連事業」の営業を終了すると発表した。ケーブルカーの鋼索線(妙見の森ケーブル)やリフトの索道線(妙見の森リフト)は、遅くとも来年2024年6月に廃止される。

遅くとも2024年6月に廃止されることが決まった妙見の森ケーブル。【画像:kancyan/写真AC】

能勢電鉄は今年2023年6月23日、鉄道事業法に基づき妙見の森ケーブルの廃止を近畿運輸局長に届け出た。能勢電鉄は2024年6月24日の営業をもって廃止するとしているが、近畿運輸局長が認めた場合は廃止を繰り上げる場合もあるとしている。妙見の森リフトやそれ以外の関連事業も、妙見の森ケーブルと同時に営業を終了する予定だ。

妙見山のケーブルカーは1925年、能勢電気軌道(現在の能勢電鉄)も出資する妙見鋼索鉄道の手により、山麓寄りと山頂寄りの2区間が開業した。戦時中の1944年には不要不急線として廃止されたが、戦後の1960年に山麓寄りの区間が能勢電気軌道により再開業。山頂寄りの区間はリフトが整備された。

能勢電鉄は妙見山上にバーベキュー施設など観光施設を整備したが、安定した集客にはつながらず利用者の減少が続いていた。ケーブルカー・リフトは1999年から冬季平日の運休を実施。2006年からは年末年始などを除き冬季は完全運休となった。昨年2022年3月からは水・木曜を定休日としている。

このほか、ケーブルカー乗り場とリフト乗り場のあいだにある「妙見の森ふれあい広場」では2001年、森林鉄道風の遊覧鉄道「シグナス森林鉄道」が開業したが、これも2021年までに営業を終了した。

能勢電鉄によると、利用者の減少に加えてコロナ禍の影響もあり、事業環境は厳しさを増していた。さらに今後、大規模な更新投資が必要になる見込みのため、妙見の森関連事業を終了することにしたという。

予定通り廃止された場合、鉄道事業法に基づくケーブルカーが廃止されるのは、伊豆箱根鉄道の駒ヶ岳鋼索線(駒ヶ岳ケーブルカー)が2005年に廃止されて以来、19年ぶりになる。

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