肥薩おれんじ鉄道は7月24日、国土交通省の九州運輸局長に旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、10月1日に運賃を値上げする。消費税率の引き上げによるものを除くと、同社が運賃を改定するのは初めて。
普通旅客運賃の平均値上げ率は9.98%。初乗り(3kmまで)は現行190円のところ40円値上げの230円になる。阿久根~川内など30km超~35kmの区間は現行890円から90円値上げの980円。八代~川内など110km超~117kmの区間は現行2670円から140円値上げの2810円になる。
定期旅客運賃は割引率を引き下げる。1カ月の場合は通勤が現行52.33%のところ改定後は42.64%に。通学は現行76.08%のところ70.59%に引き下げる。佐敷~水俣19.8kmの場合、通勤1カ月は5700円値上げの2万1290円。通学1カ月は3400円値上げの1万4010円だ。
障害者割引は101km以上の利用を条件に適用しているが、運賃改定にあわせて距離に関係なく適用する。また、通学定期に学期ごとの定期を新たに創設する。入場券は現行160円から40円値上げの200円に変更する。
肥薩おれんじ鉄道は2004年、九州新幹線の開業に伴いJR並行在来線の鹿児島本線・八代~川内(熊本県・鹿児島県)116.9kmの経営を引き継いだ第三セクター。同社によると、沿線地域の人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響、資材仕入価格やエネルギー価格の高騰、最低賃金の引き上げによる人件費上昇などで厳しい経営が続いている。一方で車両・保線・電気など安全運行に関わる設備投資を継続して実施していく必要があることから、運賃改定を申請したという。
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