岳南電車の電車「大型化」か 富士山南麓の地方鉄道、2027年以降に車両更新へ



岳南電車(静岡県富士市)は2027年以降、老朽化した現在の車両を更新する。従来の計画より延期される。今年2024年10月に富士市公共交通協議会で承認された、岳南電車の財政計画の見直しで盛り込まれた。

岳南電車の8000形。【撮影:草町義和】

岳南電車は旅客列車用の電車として7000形2両と8000形2両1編成、9000形2両1編成の合計6両を保有している。7000形と8000形は現在の京王電鉄の3000系を譲り受けたもの。9000形ももとは京王電鉄の5000系(初代)で、富士急行(現在の富士山麓電鉄)を経て岳南電車に移った。車両の長さは6両とも18m台だ。

このうち8000形の代替車両が2027年2月に納車される予定。7000形は7003号の代替車両が2028年2月に納車される予定だ。いずれも従来の計画より10カ月延期される。また、車両の更新に向けて長さ20mの車両を入線できるよう駅ホームの切削工事を実施するとしており、代替車両は現在の車両より大型化するとみられる。

7000形の7003号。【撮影:草町義和】

岳南電車は富士山南麓の吉原~岳南江尾9.2kmの鉄道路線(岳南鉄道線)を運営。吉原駅で東海道本線に連絡し、製紙工場地帯を通る。1949年から1953年にかけて岳南鉄道の路線として開業した。

かつては紙製品を運ぶ貨物列車を運行していたが、JR貨物の経営合理化の影響を受け2012年に貨物輸送を廃止し、収入が大幅に減少した。岳南鉄道は2013年に岳南電車を設立して鉄道事業を分社化。岳南電車は富士市の公的支援を受けて運営している。

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