東急大井町線・戸越公園駅の立体化「高架式」都市計画素案や地下化との比較結果を公表



東京都・品川区・東急電鉄の3者は2月9日、東急大井町線・戸越公園駅付近の連続立体交差化計画などの都市計画素案を公表した。同駅とその前後の線路を高架化して踏切を解消し、踏切事故や交通渋滞、地域分断の解消を目指す。

戸越公園駅のそばにある東急大井町線の踏切。【画像:東京都・品川区・東急電鉄】

都市計画区間は戸越公園駅を含む品川区豊町2丁目~戸越6丁目で約1.1km。このうち約0.9kmが連続立体交差化の事業予定区間になる。線路の構造は高架式を採用。高架橋は高さが約11m、幅約12mになる。事業予定区間の前後は高架化済みのため、この区間の高架化が完了すれば大井町駅から中延駅の先まで踏切が解消される。

連続立体交差化計画の平面図と縦断面図。高架化で踏切を解消する。【画像:東京都・品川区・東急電鉄】
高架橋の横断面図。仮線工法で現在の地上線路の場所に高架橋を建設する。【画像:東京都・品川区・東急電鉄】

現在の戸越公園駅のホームは相対式2面2線だが、高架化に伴い現在地から中延寄り約30mの場所に移動。島式1面2線の高架ホームを設ける。ホームの長さは約110mで幅は約6~8m。駅の出入口は現在とおおむね変わらない予定だ。駅全体の高架橋は地上から上屋までの高さが約16m、幅が約17mになる。

戸越公園駅の横断面図。相対式ホーム2面2線から島式ホーム1面2線に変わる。【画像:東京都・品川区・東急電鉄】

高架化により戸越公園駅の前後にある6カ所の踏切が解消されるが、このうち下神明1号踏切と戸越公園4号踏切の2カ所は高架化済み区間への移行区間になるため、高さ制限を設ける。救急車やバスなどが通行できるよう、約3.8m以上の高さを確保する予定だ。

工事方法は仮線工法を採用。現在の線路の北側に仮線を敷設し、仮線切替後に現在の線路を撤去して高架橋を建設する。事業費は約240億円で事業期間は11年の見込み。

このほか、戸越公園駅の北側には交通広場(約1700平方m)を整備する計画。これにより歩行者空間の確保や交通結節機能の向上を図る。

都市計画素案の作成に際しては地下式での整備も検討された。東京都によると、地形上は地下式でも整備可能。ただし中延寄り3カ所の踏切は線路が高架橋から地下トンネルへ移る部分になるため通行自体が不可能になる。事業費は高架式に比べ80億円高い約320億円で、事業期間も高架式より2年長い13年になることから、総合的に判断して高架式を選定したという。

戸越公園駅の前後6カ所の踏切は、いずれもピーク1時間あたりの遮断時間が40分以上の「開かずの踏切」。2021年4月に施行された改正踏切道改良促進法に基づき「改良すべき踏切道」に指定され、立体化に向けた動きが加速していた。

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