南武線・矢向~武蔵小杉「高架化」一部の駅はホーム配置を変更 準備書の縦覧始まる



川崎市は1月20日、JR南武線・矢向~武蔵小杉の連続立体交差事業(連立事業)について、同市の条例に基づく環境影響評価準備書・要約書を公表し、線路や駅の構造などを明らかにした。3月まで準備書・要約書の縦覧が行われるほか、2月には準備書の説明会やオープンハウス方式の説明会も行われる。

現在は相対式2面2線の平間駅。【撮影:草町義和】

準備書によると、この連立事業は矢向~武蔵小杉の線路を高架化して踏切9カ所を解消するもの。事業区間は川崎市幸区塚越3丁目~中原区新丸子東2丁目の約4.5km。鹿島田・平間・向河原の3駅を高架化し、向河原変電所を移設する。現在の線路とは別の場所に高架橋を建設する別線工法を採用する。

南武線の川崎~武蔵小杉間。矢向~武蔵小杉(赤)の高架化が事業化に向け動き出している。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】
現在線(地上)と計画線(高架)の平面概略図。【画像:川崎市】
現在線と計画線の概略縦断面図。9カ所の踏切を解消する。【画像:川崎市】

高架橋の標準的な寸法は幅が約10mで高さ(地上~防音壁天端)は約6~10m。橋脚間の距離は約13mになる。現在の3駅はいずれも相対式ホーム2面2線だが、平間駅は高架化に伴い島式ホーム1面2線に変更する。高架化後のホームの長さは3駅とも約130m。向河原変電所は現在地から北へ約400mの位置に移設する。

現在線と計画線の横断面図。現在の線路の西側に高架橋を建設する。【画像:川崎市】
高架化後の鹿島田駅の横断面図。【画像:川崎市】
高架化後の平間駅の横断面図。この駅のみ現在の相対式2面2線から島式1面2線に変わる。【画像:川崎市】
高架化後の向河原駅の横断面図。【画像:川崎市】

高架化後の運行計画は現在と同じにすることを予定している。列車は6両編成(1両の長さ20m)。平日は朝2~4分間隔、日中1時間あたり8本(各駅停車6本、快速2本)、夕方4~5分間隔で運行。土曜・休日は朝5~8分間隔、日中1時間あたり9本(各駅停車6本、快速3本)、夕方6~9分間隔になる。設計最高速度は110km/h。

準備書・要約書の縦覧期間は1月20日~3月6日。意見書は川崎市のウェブサイトなどで受け付けている。準備書説明会とオープンハウス方式説明会の日時・場所は次の通り。

●準備書説明会(第1回)
日時:2月4日 9時30分~11時00分
会場:幸市民館

●オープンハウス説明会
日時:2月5・6日 10~16時
会場:中原市民館

●準備書説明会(第2回)
日時:2月7日 19時~20時30分
会場:中原市民館

●準備書説明会(第3回)
日時:2月8日 19時~20時30分
会場:幸市民館

●準備書説明会(第4回)
日時:2月11日 14時30分~16時00分
会場:川崎市立玉川中学校

●オープンハウス説明会
日時:2月12・13日 10~16時
会場:旧新川崎・鹿島田周辺整備事務所

矢向~武蔵小杉の連立事業は川崎市総合計画第2期実施計画(2018年3月)で2020年度に都市計画を決定するとしていた。しかしコロナ禍を受け2021年1月に都市計画決定の見送りを決め、事業の再検討を実施。その結果、高架橋の高さを低くすることや、従来計画の仮線工法より工数が少なく工期・事業費を抑えることができる別線工法に変更して事業を実施することが決まった。都市計画決定は2023年度末に行われる見込み。

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