横浜花博のアクセス「鉄道3線4駅」からシャトルバス 空港からの直行バスも



2027年国際園芸博覧会協会は1月10日、国際園芸博覧会(横浜花博)の基本計画を公表した。会場へのアクセスは既存の交通インフラの「最大活用」を基本方針に掲げ、周辺の鉄道3線4駅と会場を結ぶシャトルバスの運行などを検討する。

東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅。【撮影:草町義和】

横浜花博は2027年3~9月に開催される予定の国際博覧会。約242haある旧上瀬谷通信施設地区のうち約100haを博覧会区域として使用する。会場区域は約80haで、残り約20haにはバスターミナルや駐車場が設けられる。

全体の参加者数はオンライン参加を含め1500万人で、このうち会場への有料来場者数を1000万人以上と想定。アクセス交通として公共交通機関・団体バス・自家用車・徒歩等の四つを挙げた。

公共交通機関は会場が複数の鉄道駅に囲まれた特性を生かし、駅と博覧会バスターミナルを結ぶシャトルバスを運行。相鉄本線の瀬谷駅と三ツ境駅、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅、JR横浜線の十日市場駅からのルートを基本に検討を進めるとした。首都圏の空港や主要ターミナルからの直行バスの運行も検討する。

シャトルバス(赤点線)は周辺の鉄道3線4駅からのルートを基本に検討される。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】
相鉄本線の瀬谷駅。【撮影:草町義和】
南町田グランベリーパーク駅に乗り入れている神奈中バスの路線バス。【撮影:草町義和】

また、シャトルバスの速達性・定時性の向上、チケット制度と連動した来場者の平準化などの交通需要マネジメントの取組、経路選択や決済などがスムーズに進む「MaaS」など、ICTを活用した円滑な輸送対策についても検討する。バス高速輸送システム(BRT)や公共車両優先システム(PTPS)の導入など速達性・定時性向上の具体策は基本計画では明記しておらず、今後検討されるとみられる。

団体バスは会場に隣接する駐車場の整備で対応。自家用車は通行量の抑制を検討するが、障害者用の駐車場を会場に隣接して整備。会場外に駐車場を確保して駐車場と会場を結ぶシャトルバスを運行する「パーク&ライド」の導入も検討する。瀬谷駅をはじめとする周辺の鉄道駅などから会場までの歩行者空間の整備も検討する。

今後は2023年度中に輸送計画を取りまとめ、2024年度から2026年度にかけ運行計画の策定や交通マネジネントの調整、管理体制の整備を行う予定。2026年度にはパーク&ライド駐車場や会場ターミナルなどの工事を行う計画だ。

花博会場として使われる旧上瀬谷通信施設地区。【撮影:草町義和】

横浜市は当初、瀬谷駅と会場を結ぶゴムタイヤ式の軌道交通(AGT=新交通システム)「上瀬谷ライン(仮称)」を花博開催までに整備してメインのアクセス交通とする方針だった。しかし上瀬谷ラインの運営事業者として想定されていた横浜シーサイドラインは2021年11月、花博閉幕後の採算性に課題があるとして経営参画を拒否。これを受けて横浜市も上瀬谷ラインの花博開催までの整備を断念した。

※追記(2023年1月18日3時1分):誤字を修正しました。

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