横浜花博アクセス交通「BRT」視野に検討か 上瀬谷ライン花博までの整備は断念へ



横浜市の山中竹春市長は12月10日、旧上瀬谷通信施設地区で2027年に開催される国際園芸博覧会(花博)の交通アクセスについて、バスを活用した公共交通の整備などを検討する考えを明らかにした。新交通システムの新線「上瀬谷ライン(仮称)」を花博の開催までに整備する計画を事実上断念した。

インドネシアの首都ジャカルタの市街地を走るBRT。一般車の車道から分離した専用レーンを走ることで定時性や速達性を向上させている。【撮影:草町義和】

山中市長は同日開かれた市会定例会の本会議で「(上瀬谷ラインの)年内の事業者の決定や速やかな特許申請は困難なため、スケジュールの見直しが必要。これらを踏まえると、博覧会開催時の新交通システムの活用は難しくなったと考えている」と話した。

一方で花博開催期間中の代替交通については、「バスの定時性や速達性を確保できるような代替の輸送システムを早急に検討する」と話した。専用道・専用レーンの整備などで定時性や速達性を向上できるバス高速輸送システム(BRT)を視野に入れ、検討するものとみられる。

横浜市はこれまで、相鉄本線の瀬谷駅付近と旧上瀬谷通信施設地区を結ぶ上瀬谷ラインを花博の開催までに整備して交通アクセスを確保。花博終了後は会場跡地に整備するテーマパークへのアクセス交通として上瀬谷ラインを活用する方針だった。

横浜市は9月、新交通システムの金沢シーサイドラインを運営している同市の第三セクター「横浜シーサイドライン」に対し、軌道事業者として上瀬谷ラインの事業に参画するよう要請。本年度2021年度中に軌道事業者を確定して軌道特許を申請する方針だった。

しかし11月、横浜シーサイドラインは「具体的な延伸計画が示されていないことから、将来に渡りテーマパークに依存した路線となることが明白」「適切な工事期間や整備事業費が示されていない」などの課題を挙げ、採算性や継続性が見込めないとして「現時点で軌道事業者として上瀬谷ラインへ事業参画しない」と回答していた。

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