島原鉄道「全通さらに遅れ」廃線跡活用の自転車道、事業費は1.4倍に



長崎県南島原市が島原鉄道線の廃線跡を活用して整備を進めている自転車歩行者専用道路「市道南島原自転車道線」について、同市は6月20日、事業費が当初計画の1.4倍ほどに膨れあがる見通しを明らかにした。全線開通の時期も当初計画より少なくとも2年ほど遅れるとみられる。

2008年に廃止された島原鉄道線(南目線)の終点・加津佐駅。【撮影:草町義和】

南島原自転車道線は島原市境の水無川南岸から島原湾沿いに進み加津佐に至る計画。2008年に廃止された島原鉄道線の南側区間(南目線)・島原外港(現在の島原港)~加津佐35.3kmのうち、島原市内を除く32.1kmの線路敷地を活用して整備する。

2019年11月の自転車活用推進計画と2021年6月の整備計画の策定を経て着工。2022年9月の口之津町地区388mを皮切りに完成した部分から順次使用開始している。南島原市によると、今年2024年5月末時点では約20kmの工事が完了し、このうち約17kmが使用開始しているという。同市は自転車道の整備により通勤・通学の利便性向上や災害時の避難道路としての活用、サイクリング客の誘致を目指している。

南島原自転車道線の整備区間。現在は赤・黄色の区間が通行できる。【画像:南島原市】
南島原自転車道線の開通区間。【画像:南島原市】

事業費は当初計画では約35億円とされていた。しかし2022年11月、廃線跡沿い点在する急傾斜地や老朽化したトンネルの補強工事が必要になり、事業費が10億円増の約45億円になることが判明。完成時期も1年遅れの本年度2024年度とされた。

さらに2024年6月20日、南島原市は「近年の物価高騰が非常に激しい」などとし、事業費が当初計画から1.4倍の50億円程度に膨らむことを明らかにした。工事の入札不調が相次いで全通も2024年度中は困難な情勢になっており、さらに遅れて2025年度以降になりそうだ。

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