大鳴門橋「自転車道」計画の全体像明らかに 遊歩道併存、新幹線の計画はどうなる?



鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋(兵庫県・徳島県)に自転車道を整備する計画の全体像がほぼ固まった。サイクリング需要の高まりを受け交流人口の拡大や観光振興の促進を図る。兵庫県と徳島県は来年度2023年度にも事業に着手し、早ければ2027年度頃の完成を目指す。

大鳴門橋の新幹線スペースに整備される自転車道のイメージ。【画像:徳島県】

大鳴門橋は淡路島の兵庫県南あわじ市と徳島県鳴門市のあいだにある鳴門海峡をまたぐ全長1629mの橋梁。2層式で上層に道路を設けている。下層には新幹線を通すためのスペースが確保されており、現在は徳島県寄りの450mに「鳴門の渦潮」を見学できる遊歩道「渦の道」が設置されている。この新幹線スペースに自転車道を整備し、淡路島と四国のあいだを徒歩や自転車で移動できるようにする。

自転車道は全長1799m。新幹線スペースを活用する桁下部(1629m)と、新幹線スペースに取り付くためのアプローチ部(徳島県100m、兵庫県70m)で構成される。幅は原則4mで自転車道(2.5m)と歩道(1.5m)の共用になる。

渦の道がある部分は自転車道(幅2.5m)と歩道(幅2m)を分離して渦の道との併存を図る。ただし渦の道の出入口・展望室と大鳴門橋の主塔がある部分は自転車道と歩道の兼用に。兼用部では安全性や眺望性を考慮し、自転車は歩行(押し歩き)による移動を想定する。

大鳴門橋(上)と自転車道の断面(右下)。【画像:徳島県】

渦の道の来場者数はコロナ禍が本格化する前の2019年度で約55万人。自転車道の設置後は渦の道を含め年間約65~75万人の利用を想定し、少なくとも10万人の増加を見込む。

総事業費は約58億円(兵庫県施行分:約30億円、徳島県施行分:約28億円)。工事着手後4~5年程度で完成させることを目指す。自転車道の維持費などは料金収入で確保することが考えられており、兵庫県と徳島県が料金額を検討、調整する。

大鳴門橋の下層に設けられている新幹線スペース。眼下に「鳴門の渦潮」を見ることができる。【撮影:草町義和】

大鳴門橋の新幹線スペースは1973年に基本計画が決定した四国新幹線(大阪市~徳島市付近~高松市付近~松山市付近~大分市)を通すことが想定されているが、膨大な費用がかかることから着工のめどはたっていない。2000年に徳島県寄りの一部のみ、新幹線スペースの両脇を中心に渦の道が整備された。

渦の道と自転車道は新幹線スペースを活用するため、四国新幹線の着工が決まった場合の取り扱いが課題になる。徳島県は「四国新幹線の整備が決定した際は、直ちに(自転車道の)撤去ができるよう、『撤去が容易な構造』や『撤去が可能な運営計画』について、兵庫県や本州四国連絡高速道路株式会社と連携し、検討を進めております」としている。

《関連記事》
淡路島と四国結ぶ大鳴門橋「幻の新幹線スペース」いまは遊歩道、将来どうなる?
JR四国の値上げ「来年5月20日」に 27年ぶり、瀬戸大橋線などの特定運賃は廃止