弘南鉄道に「改善指示」発出 脱線・運休受け監査、検査や修繕の未実施など7項目



国土交通省の東北運輸局は1月23日、脱線事故や長期運休が相次いだ弘南鉄道(青森県)に対し7項目の改善指示を発出した。

弘南鉄道の列車。【画像:sachicooo/写真AC】

東北運輸局によると、昨年2023年の脱線事故や長期運休を受け、2023年12月13~15日に保安監査を実施。その結果、改善が必要な事項が7項目あったとして改善指示を発出したという。改善が必要なおもな項目は次の通り。

1.レール摩耗検査の適否判定が適切に行われていない

測定器を使わず目視で検査を実施していたため、レールの交換基準に達していたにもかかわらず問題ないと誤判定していた。

2.レール遊間検査の結果に基づく必要な整備が行われていない

レールとレールのあいだの継ぎ目には温度の変化による伸縮に備えて一定の隙間(遊間)を設けているが、遊間の基準値を超えていた場所が複数あったにもかかわらず補修していなかった。

3.列車動揺検査及び線路巡視を冬期間行っていない

列車の揺れの検査を月1回実施する必要があったのにもかかわらず2022年1・2月と2022年12月~2023年2月に実施していなかった。

4.軌道の定期検査を許容期間内に実施していない

鉄道の施設や車両は鉄道営業法とその下位法令に基づく定期検査を一定の周期で行うことが義務づけられているが、弘南鉄道では許容期間内に検査を実施していなかった。

5.軌道変位検査の結果に基づく必要な整備・再測定結果の記録が行われていない

軌道のゆがみ(変位)が検査で確認された部分の再測定結果や修繕結果の記録の一部が保存されていなかった。

6.建築限界を支障したプラットホームについて必要な整備を行っていない

一部の駅のホームが、設置してはいけない空間(建築限界)に、はみ出していた。

7.施設の保守管理を確実に行うための教育・訓練の実施

施設保守管理を行う係員の経験が浅く現場の責任者も不在で、本社にも保線の専門的な知識を持った社員がいなかった。

東北運輸局はこれらの項目に対する改善策を今年2024年2月22日までに報告するよう、弘南鉄道に求めている。

弘南鉄道は2023年8月6日、大鰐線・大鰐~宿川原の脱線事故を受けて同線を運休。8月23日に運転を再開した。その後、同社が実施した軌道状態の確認でレールの摩耗量が基準を超えていたことが判明。9月25日の昼ごろから大鰐線と弘南線の全線を運休し、12月8日までに全線全区間の運転を再開するのに2カ月半かかった。

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