JR四国の値上げ「来年5月20日」に 27年ぶり、瀬戸大橋線などの特定運賃は廃止



国土交通大臣は12月9日、JR四国が申請していた旅客運賃の上限変更を認可した。これを受けてJR四国は同日、特急料金の改定や特定運賃の廃止などを届け出た。来年2023年5月20日の購入分から運賃・料金を値上げする。消費税率の引き上げに伴うものを除くとJR四国の値上げは1996年以来27年ぶり。

JR四国の特急列車。【撮影:草町義和】

全体の改定率は12.82%で、普通運賃が12.51%。初乗り(3km以内)は190円で20円値上げする。おもな区間は高松~徳島74.5kmが1640円(170円値上げ)で、高松~松山194.4kmは3960円(400円値上げ)、高松~高知159.3kmは3190円(400円値上げ)になる。

普通旅客運賃(JR四国内)の現行額と改定額。【画像:JR四国】

定期運賃は普通運賃の改定に基づくとともに割引率の引き下げも実施。改定率は通勤28.14%、通学22.43%と2割以上の値上げになる。特急料金は50km以下の距離帯で値上げし、改定率は5.13%になる。

このほか地方交通線の特定運賃を廃止する。JR四国は1996年の運賃改定時に地方交通線の運賃表を廃止して新たに擬制キロ制を導入。これにより値上げ額が大きくなる区間は激変緩和の目的で特定運賃を導入していた。JR四国は「(導入から)25年以上が経過し、激変緩和策の役目を終えた」として廃止することを決めた。

瀬戸大橋線でも1996年の加算運賃の設定時に導入された激変緩和目的の特定運賃が廃止される。この結果、児島~坂出の運賃は現在530円のところ廃止後は640円で2割以上の値上げになる。

JR四国は沿線人口の減少に加えコロナ禍の影響による利用者の減少もあるとして、今年2022年8月に運賃の値上げを申請。運輸審議会が12月1日に認可が適当と答申したことを受け国交相が認可した。コロナ禍の収束で経済状況が変化する可能性を考慮し、国交相は今回の認可について2028年3月31日までの期限を設定。運賃改定後の2023年度から2025年度までの3年間、総収入と総括原価の実績を確認するという条件を付けた。2023~2025年度の収入が原価を上回った場合、国交省はJR四国に対し運賃の引き下げを求める可能性がある。

《関連記事》
JR四国が来春「大幅値上げ」へ 改定率1割以上、定期券は2割以上、初乗り20円上げ
山陽新幹線~四国特急の乗継割引「廃止」 寝台特急「サンライズ瀬戸」乗継割引も