JR九州の運賃値上げ認可「初乗り200円」JRで2社目、赤字幅を169億円縮小



国土交通大臣は11月29日、JR九州が申請していた旅客運賃・料金の上限変更を認可した。これを受けてJR九州は来年2025年4月1日に値上げする。

JR九州の普通列車。【撮影:草町義和】

全体の改定率は上限ベースで15%。普通旅客運賃は14.6%で、初乗り運賃は現行170円のところ30円値上げの200円に改定する。キロ数に賃率を乗じて算出する101km以上の運賃は、300km以下に適用する賃率を2円(11.3%)引き上げ、301km以上の賃率は据え置く。定期旅客運賃の改定率は25.8%で、通勤は30.3%の大幅な値上げに。通学の改定率も16%になる。

上限認可の対象となる新幹線特急料金の改定率は12.4%。ただし九州新幹線の隣接駅間などで自由席を利用する場合の特急料金(870円)は据え置き。西九州新幹線は「利用の定着を図るため」として全区間の料金を据え置く。上限認可対象外の料金は割引切符の発売額を見直す予定。在来線特急料金やグリーン料金、座席指定料金は改定しない。

西九州新幹線の新幹線特急料金は全区間で据え置く。【撮影:草町義和】

JR九州の鉄道事業の収支は2022年度が1418億2300万円の収入に対し原価が1884億6100万円で、差引466億3800万円の赤字。2025年度~2027年度の3年間平均見込みは現行運賃のままなら366億2300万円の赤字に対し、運賃を改定した場合の赤字額は197億4500万円で、赤字幅を約169億円縮小することを目指す。

JR旅客会社の初乗り運賃が200円になるのは、JR北海道に続き2社目。JR九州は上限運賃変更の認可を受け「当社のさらなる経営努力を前提として、鉄道事業の継続に必要な『安全への投資』『人材確保のための待遇改善』『物価高騰』『激甚化する災害』への対応を着実に進め、安全を最優先に、サービスの向上に努めてまいります」とコメントした。

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