東海道本線・御殿場線の沼津駅「高架化」計画期間を延長 「範囲外の用地」めど



東海道本線の原~東田子の浦間に広がる貨物駅の移転先用地(中央)。【画像:静岡県】

静岡県は沼津市内のJR線を高架化する連続立体交差事業(連立事業)について、計画期間を4年延長する方針を固めた。

静岡県がまとめた2021年度事業再評価の資料によると、計画期間は前回の事業再評価(2016年度)で2003~2030年度としていたが、今回の事業再評価では4年延長して2003~2034年度とした。「貨物駅移転先の用地取得に時間を要したため、工事着手が4年遅れたため」としている。

今後のスケジュール案では、2022~2024年度に貨物駅の移転整備を行い、車両基地の移転整備も2023~2026年度に実施。高架本体の整備は2025~2034年度に行う。高架橋の使用開始は2035年度とした。

この連立事業は、沼津駅を中心にJR東海の東海道本線と御殿場線を高架化するもの。2003年に都市計画が決定され、2006年までに事業認可を受けた。事業範囲は沼津市の大岡~桃里で、事業区間の距離(高架区間の距離)は東海道本線が約4.1km(約3.7km)、御殿場線が約1.8km(約1.6km)。全体の事業費は787億円とされている。高架化により13カ所の踏切解消と国道414号など幹線道路8路線との立体交差化が図られる。

沼津駅に併設されているJR貨物の貨物駅は、高架化の範囲外となる西へ約8kmの地点(東海道本線・原~東田子の浦間)に移転。JR東海の車両基地も西へ約2kmの地点(東海道本線・沼津~片浜間)に移転する。貨物駅の移転先用地の買収が難航するなどして本格的な工事に着手できない状態が続いていたが、今年2021年2月に行政代執行(強制収用)が実施され、貨物駅の用地取得が完了した。

高架化される区間(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

2021年度事業再評価調書によると、事業の進ちょく率(2021年度末見込み)は事業費ベースで6.6%。高架本体の用地取得率は87.1%に達するという。現在は着工に向け埋蔵文化財の調査やJR東海による詳細設計が行われている。

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