静岡の地酒「幻の鉄道トンネル」で熟成、クラファンで販売 天竜川沿いの未成線



富士の酒(静岡県掛川市)は6月25日から、「熟成酒 月詠み」の販売を開始した。工事が途中で中止され幻に終わった鉄道(未成線)のトンネルで熟成させた日本酒。クラウドファンディング(CF)で販売する。

ワインセラーとして使われている佐久間線の相津トンネル。【撮影:草町義和】

佐久間線の相津トンネル(浜松市)で静岡の地酒を熟成させる。熟成酒は飲後の余韻を長時間楽しめ、和食だけでなく西洋料理や中華料理、チーズ、デザートとも相性がいいという。CFサイト「Makuake」(マクアケ)で購入できる。価格は5000円からで、CFの期間は7月30日まで。

販売される日本酒。【画像:ワード・ロープ】

佐久間線は国鉄二俣線の遠江二俣駅(現在の天竜浜名湖鉄道・天竜二俣駅)から天竜川に沿って北上し、飯田線の中部天竜駅を結ぶ計画だった全長約35kmの未成線。日本鉄道建設公団(鉄道公団、現在の鉄道・運輸機構)が建設して完成後は国鉄が運営することになり、1967年から遠江二俣~遠江横山間の約11kmのみ工事に着手した。

相津トンネル内のワインセラー。【画像:ワード・ロープ】

想定される利用者が少なかったことから、国鉄の経営悪化を受けて工事は1980年に凍結。相津トンネルも全長約1900mのうち遠江二俣寄りの約1200mを掘削したところで中断した。その後、佐久間線の計画は正式に中止され、相津トンネルの完成した部分がレンタルワインセラー「「浜松ワインセラー」として活用されている。

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