広島電鉄など公共交通7社は9月6日、国土交通大臣に共同経営計画を申請した。広島市も広島電鉄の電車運賃の改定を含む「広島市地域公共交通利便増進実施計画」の認定を申請。これらが認可、認定された場合、7社は11月1日に運賃を改定する。広島市中心部の路面電車や路線バスが値上げされるが、路線バスの一部の区間は値下げされる。

運賃を改定するのは広島電鉄、広島バス、広島交通、芸陽バス、備北交通、中国JRバス、エイチ・ディー西広島。広島電鉄が運行する広島市内の軌道線(路面電車)と7社が運行する広島市中心部の路線バスが対象になる。
広島電鉄の軌道線の改定率は普通旅客運賃が15.8%(白島線は23.1%)、定期旅客運賃は通勤15.7%、通学15.9%(白島線は通勤23.1%、通学23.0%)。鉄道線(宮島線)は今回の運賃改定の対象外。
広島電鉄の路面電車の普通旅客運賃は、白島線を除く軌道全線が現在の190円から30円値上げの220円に。白島線も現在の160円から30円値上げの190円に変わる。定期旅客運賃も値上げされるが、割引率は据え置く。大人1カ月の場合、通勤定期はいまより1130円高い8320円に。通学定期は850円値上げの6210円になる。白島線は通勤が1190円値上げの6340円、通学は880円高い4710円。
7社の路線バスは現在、広島市中心部の紙屋町を中心としたエリアを190円の均一運賃エリアとしている。改定後は均一運賃を220円にするとともに、均一運賃エリアを「デルタ市街地内」に拡大する。

この結果、従来の均一運賃エリアでは30円の値上げだが、エリア拡大後の一部の区間では10~20円ほど値下げされる。現在は均一運賃の範囲が異なる路面電車とも範囲の統合が図られる格好となり、広島電鉄は「お客様にとってわかりやすい運賃体系を整えます」としている。
ICカード「PASPY」の割引は継続。乗車ごとの運賃に対して最大10%の割引(運賃額の端数は10円単位へ切り上げ)が適用される。
広島電鉄によると、人口減少や少子高齢化、新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用者が減少し、交通事業者は厳しい経営状況下に置かれているという。今回の運賃改定について同社は「事業者や交通モードの枠を超えた『路線バス・電車共通のサービス』を実現し、デルタ内における移動の利便性向上を図るもの」としている。
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