羽田空港アクセス線「新駅」品川区が検討に着手 現行計画では途中駅なし



東京都品川区は羽田空港アクセス線(仮称)に新駅を整備できるかどうか検討する。2022年度補正予算に検討費として770万円を計上した。

羽田空港アクセス線として改修される計画の大汐線。【撮影:草町義和】

羽田空港アクセス線は品川ふ頭の東品川地区から大井ふ頭の八潮地区にかけ品川区内を通る。検討では構想されている各ルートの線路・線形や周辺の土地利用状況、ほかの自治体での新駅整備の事例、活用が可能な事業スキームを把握。新駅の候補地選定と課題の抽出を行うほか、概略平面計画の作成と概略工事費の把握を行う。

羽田空港アクセス線はJR東日本が計画している鉄道整備プロジェクト。新宿(西山手ルート)・東京駅(東山手ルート)・新木場(臨海部ルート)の3方面と羽田空港を結ぶことが考えられている。

JR東日本はこのうち東山手ルートの約12.4kmを先行整備する方針で2029年に開業の予定。田町駅付近から東京貨物ターミナル駅まで約7.0kmは東海道本線貨物支線(大汐線)を改修し、東京貨物ターミナル駅から羽田空港新駅(仮称)の約5.4kmは地下トンネルのアクセス新線を整備する。JR東日本は2021年1月にアクセス新線の鉄道事業許可を受け、今年2022年8月8日までに東山手ルートの環境影響評価書を東京都に提出した。現行の計画では終点の羽田空港新駅を除き駅の設置が計画されていない。

品川区内の羽田空港アクセス線のルート(緑:西山手ルート、オレンジ:東山手ルート、薄青:臨海部ルート、赤:アクセス新線)。現在の計画では途中駅は設けられない。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

品川区は2020年4月に策定した長期計画(2020~2029年度)で「区の広域都市軸である五反田、大崎、大井町のさらなる活性化を図るため、羽田空港アクセス線の早期整備に向けて働きかけるとともに、新駅の設置に向けた要望を行っていきます」との文言を盛り込んでいた。同区は「事業が進展しているこの機に~区民の交通利便性のさらなる向上と、都市の持続可能な発展を目的に、新駅の可能性を検討する」としている。

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