東京都大田区の松原忠義区長や鈴木隆之区議会議長は7月27日、新空港線(蒲蒲線)の整備に関連する予算の確保などを求める要望書を国土交通省の斉藤鉄夫大臣に提出した。
要望書は蒲蒲線について「既存のネットワークの強化、大規模自然災害時の代替ルートの確保、首都圏各都市からの羽田空港へのアクセス強化など、様々な効果が期待されているところ」と評価。本年度2022年度内の整備主体の設立に向け、予算の確保などを求めている。
大田区によると、斉藤国交省は要望を受け「非常に将来性があり、羽田空港の国際競争力を高めていくために必要不可欠な事業。都市鉄道等利便増進法の枠組みの中で、しっかりと国としての役割を果たしていきたい」と話したという。
蒲蒲線は東急多摩川線の矢口渡駅から現在のJR・東急蒲田駅と京急蒲田駅を経由し、京急空港線の大鳥居駅に乗り入れる約4kmの新線構想。このうち矢口渡~京急蒲田の約2kmが第1期区間として先行整備される。
神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線)と同じ都市鉄道等利便増進法に基づく都市鉄道利便増進事業として整備することが考えられている。第1期区間の総事業費は約1360億円の見込み。国と地方がそれぞれ3分の1を負担し、残り3分の1は借入などで調達。営業主体が支払う線路使用料で償還する。
このうち地方負担分は東京都と大田区が協議し、6月に大田区が7割、東京都が3割負担することで合意した。第1期区間整備時の利用者数が約5万7000人の見込みで、このうち3割ほどの約1万5000人が羽田空港の利用客となることから、東京都が空港利用客分を負担する形にしたという。
要望書は「大田区は、日本の空の玄関口である羽田空港を擁する自治体として、新飛行ルートを含め、国土交通省が行う航空施策に対し、できる限りの協力をしてまいりました」とし、北側から羽田空港に入る新飛行ルートの実現した背景として大田区の協力があったことを強調。そのうえで蒲蒲線の予算確保を求める構成になっている。
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