JR・IR・ハピ「連絡運輸」実施へ 2社またぎの切符OK、3社またぎは?



JR西日本・IRいしかわ鉄道・ハピラインふくいの3社は12月5日、指定された範囲に限り各社間にまたがる切符を買えるようにする「連絡運輸」を実施すると発表した。北陸新幹線の敦賀延伸(来年2024年3月16日開業)にあわせて並行在来線の北陸本線・金沢~敦賀の経営をIRいしかわ鉄道とハピラインふくいが引き継ぐことから、各社ごとに切符を買う手間を軽減する。

越美北線の九頭竜湖駅。北陸本線の経営分離後も通過連絡運輸の設定で大阪市内~九頭竜湖などの区間の乗車券を購入できる。【撮影:草町義和】

JR~ハピラインふくいの連絡運輸の範囲は乗車券の場合、JR側が東海道本線・米原~大阪、北陸本線・米原~敦賀、小浜線・敦賀~青郷、湖西線・山科~近江塩津、越美北線・越前花堂~九頭竜湖。ハピラインふくい側はハピラインふくい線・敦賀~大聖寺の全区間が対象だ。

この範囲の各駅相互間は乗車券を1枚で購入することが可能。交通系ICカード「ICOCA」も小浜線と越美北線を除き利用できる。このほか、ハピラインふくい線・越前花堂~福井で「通過連絡運輸」を設定。越美北線を除くJR各駅から北陸新幹線やハピラインふくい線を経由して越美北線各駅までの乗車券を購入できるようにする。

JR~ハピラインふくいの連絡運輸(乗車券)の範囲。【画像:JR西日本】

定期券の連絡運輸範囲もハピラインふくい側は敦賀~大聖寺の全区間だが、JR側は北陸本線・新疋田~敦賀と小浜線・敦賀~青郷に限定。ICOCA定期券は新疋田~敦賀~大聖寺の範囲のみ連絡運輸に対応する。

定期券のJR~ハピラインの連絡運輸の範囲は乗車券より狭くなる。【画像:JR西日本】

ハピラインふくい~IRいしかわ鉄道の連絡運輸の範囲は乗車券・定期券ともに、敦賀~(ハピラインふくい線)~大聖寺~(IRいしかわ鉄道)~倶利伽羅。ICOCA定期券も同じ区間で購入できるようにする。

JR西日本によると、JR西日本・ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道の3社にまたがる連絡運輸・通過連絡運輸は設定しないという。このため北陸新幹線の敦賀延伸開業以降、大阪~敦賀~金沢や敦賀~金沢~七尾などの区間の乗車券は北陸新幹線経由のみ購入できる。連絡運輸の範囲について3社は、経営分離後の利用者の利便性や流動を勘案したとしている。

連絡運輸範囲の切符は原則として、各社それぞれの運賃を合算して発売される。鉄道の運賃は通常、距離が短ければ短いほど距離当たりの運賃額が高くなり、短距離で複数社をまたぐ区間では運賃が大幅に高くなりやすい。このため3社は連絡運輸範囲のうち一部の短距離区間で乗継割引を設定。利用者の運賃負担の軽減を図る。

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