来年3月開業「相鉄・東急直通線」線路敷設が完了 新横浜でモーターカー「走り初め」



鉄道・運輸機構は7月22日、神奈川東部方面線のうち「相鉄・東急直通線」の新横浜駅でレール締結式を実施し、報道関係者に公開した。これにより相鉄線と東急線をつなぐ線路の敷設が完了。来年2023年3月の開業に向け準備は最終段階に入った。

敷設が完了したレールの上を走るモーターカー。【撮影:鉄道プレスネット】

相鉄・東急直通線の新横浜駅は、JR東海道新幹線・横浜線の新横浜駅北西側を通る道路の地下約30mにホームを整備。横浜市営地下鉄ブルーラインの新横浜駅と地下で立体交差し、コンコースや階段などは乗換動線を考慮して配置された。

地上から階段を使って地下4階のホームへ。土木工事は地上出入口など一部を除き完了しており、いまはエスカレーターなど諸施設の工事が進められている。ホームも地下構造物や線路施設の工事が完了し、ホームドアは設置済み。安全確認カメラや発車案内表示器などはカバーで覆われており、駅名標などの案内表示はまだ設置されていなかった。

地下3階のコンコース。【撮影:鉄道プレスネット】
新横浜駅の北行線ホーム(日吉方面)。【撮影:鉄道プレスネット】
北行線ホーム(右)と南行線ホーム(左、羽沢方面)。ホームドアは設置済み。【撮影:鉄道プレスネット】
北行線ホームの天井。発車案内表示器などはカバーで覆われていた。【撮影:鉄道プレスネット】

締結式では3線のうち中央の線路(中線)を使用。国土交通省の斉藤鉄夫大臣や横浜市の山中竹春市長らが参加した。「パンプーラー」と呼ばれる専用器具を使用し、「エイッ、エイッ、エイッ」というかけ声にあわせてレールとマクラギを締結した。

パンプーラーを使ったレール締結。【撮影:鉄道プレスネット】

レールの締結後、作業員による点検確認と清めの議、テープカットなどを実施。記念ヘッドマークを取り付けた保守車両(モーターカー)が中線に姿を現して「走り初め」が行われ、羽沢横浜国大寄りから日吉寄りへゆっくりと走った。

締結後に行われた清めの議。【撮影:鉄道プレスネット】
最後にヘッドマーク付きのモーターカーが走行。【撮影:鉄道プレスネット】

締結式に出席した神奈川県の黒岩祐治知事は「つながったことで神奈川県から東京だ、埼玉だと、人がどんどん流れていっては困る。埼玉から、東京から、どんどんどんどん横浜、神奈川に人が来てくれる、そういった流れをぜひ作っていきたい」と話し、観光面での活用を図っていく考えを示した。

横浜市の山中市長は「相鉄線の沿線の旧上瀬谷通信施設では2027年に国際園芸博覧会(花博)が開催される。相鉄・東急直通線がこのビッグイベントの重要なアクセス路線となり、花博が大成功するよう本市としても責任感をもって進めていく」と話した。

運転計画や遅延対策は?

神奈川東部方面線は、横浜市内の相鉄本線・西谷駅と東急東横線・日吉駅の約12kmを結び、相鉄線・JR線・東急線などの直通化を図る地下路線。鉄道・運輸機構が整備主体として建設し、相鉄と東急電鉄が営業主体として列車を運行する。

工事区分上は西谷~羽沢横浜国大の2.1kmが相鉄・JR直通線、羽沢横浜国大~日吉の約10kmが相鉄・東急直通線に分かれている。このうち相鉄・JR直通線が2019年11月に開業し、相鉄線とJR線の相互直通運転が始まった。相鉄・東急直通線が開業すると、営業上は新横浜駅を境に相鉄線と東急線に分かれ、西谷~新横浜が相鉄新横浜線、新横浜~日吉が東急新横浜線として案内される。

東急新横浜線・相鉄新横浜線と直通運転する路線(太線)。西武線との直通運転は行われない。【画像:相鉄・東急電鉄・東京メトロ・東京都交通局・埼玉高速鉄道・東武鉄道・西武鉄道】

相鉄・東急直通線の開業による神奈川東部方面線の全通で、相鉄本線・相鉄いずみ野線・相鉄新横浜線・東急新横浜線・東急目黒線・都営三田線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線の直通運転が始まる。神奈川県央や横浜市西部から東京都心や埼玉方面へのアクセスが強化されるほか、東海道新幹線が乗り入れる新横浜駅へのアクセスも改善される。一方で西武線からの直通運転は行われない。

東急電鉄の元住吉検車区に集結した7社局の車両。西武鉄道(右)を除く6社局の車両が乗り入れる。【撮影:鉄道プレスネット】

ネットワークの広域化により、トラブル発生時の遅延拡大といった課題も浮上している。締結式のあとに行われた記者会見で営業主体の関係者は遅延対策について「検討しているが、いまここで話せることはない」と話した。各社局から乗り入れる列車の本数や車両の割合などについても「(詳細な)運転計画は検討・調整中で新たな情報はない」と話した。

鉄道・運輸機構の河内隆理事長によると、相鉄・東急直通線は8月下旬から施設の監査・検査を実施。その後に相鉄と東急電鉄の乗務員訓練や国交省による最終の完成検査を経て、2023年3月に開業の予定という。

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