東北新幹線の脱線車両、4月初頭に収容 脱線60軸のうち50軸「ガイド」機能か



JR東日本は3月25日、福島県沖を震源とする地震の影響による東北新幹線「やまびこ223号」の脱線事故について、4月2日頃にも脱線した車両の収容作業が完了する見込みと発表した。

載線作業が行われている「やまびこ223号」(E6系)の車両。【画像:JR東日本】

脱線した車両は3月20日から、ジャッキアップによる載線作業(列車をレール上に載せる作業)が始まり、3月24日までに仙台寄り17号車から8号車までの載線が完了した。載線作業は引き続き行われており、3月29日からは5号車から7号車まで、クレーンを使用した載線作業が行われる予定。すべての車両を白石蔵王駅へ収容する作業が完了するのは4月2日頃の見込みだ。

JR東日本などによると、事故は3月16日の夜に発生。「やまびこ223号」が福島~白石蔵王間を約150km/hで走行中の23時34分、1回目の地震(マグニチュード6.1)が発生して沿線地震計警報が発令された。これにより「やまびこ223号」は非常ブレーキが動作し、23時35分に停車。続いて23時36分、2回目の地震(マグニチュード7.4)が発生した。1回目の地震で脱線したのほか、それとも2回目の地震で脱線したのか、JR東日本は明らかにしていない。

当日の「やまびこ223号」は仙台寄りからE6系7両+H5系10両の17両編成。13号車を除く16両の60軸が脱線し、39軸が仙台に向かって右に脱線、21軸が左に脱線した。脱線幅は最大約1m(6号車)で、仙台寄り先頭の17号車も約60cmずれた。

「やまびこ223号」の脱線状況。【画像:JR東日本】

脱線した60軸のうち50軸は、台車に取り付けられた逸脱防止ガイドなどがレールにかかる状態にあったといい、これにより列車が転覆するなどの大規模な事故を防いだ可能性がある。逸脱防止ガイドはL字型の突起物で、地震による振動で車両が大きく揺れた場合、レールにぶつかって車両が線路から大きく外れるのを防ぐ。2004年の新潟県中越地震で発生した脱線事故を受け開発された。

東北新幹線は3月25日現在、郡山~一ノ関間で運転を見合わせている。4月2日頃に郡山~福島間が再開し、4月4日頃には仙台~一ノ関間が再開する計画。JR東日本は4月20日前後の全線再開を目指している。

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