陸羽西線「2年間」運休 長さ350mの道路トンネル工事で43km全線がバス代行に



JR東日本の仙台支社・新潟支社と国土交通省の山形河川国道事務所は2月22日、JR陸羽西線(山形県)を5月から全線運休すると発表した。国土交通省が建設する道路トンネルの工事に伴うもの。

陸羽西線の列車。【KUZUHA/写真AC】

陸羽西線は最上川や国道47号に並行するローカル線で、新庄~余目間の43.0kmを結ぶ。運休期間は5月14日から2024年度中までで、少なくとも2年間は運休するとみられる。新庄~余目間を走るすべての列車が運休するほか、陸羽西線~羽越本線を直通する新庄~酒田間の列車も全区間で運休する。

代行バスは羽越本線への直通区間を含む新庄~酒田間で運行される。陸羽西線の輸送密度は2019年度が343人で、コロナ禍の2020年度は163人だった。

陸羽西線の列車の運休区間と代行バスの運行区間。【画像:JR東日本】

国土交通省は国道47号の短絡ルートになる「高屋道路」を計画し、2015年に着工した。全長3.4kmのうち約3.3kmは猪ノ鼻トンネル(仮称、2926m)と高屋トンネル(仮称、350m)で構成され、現在は猪ノ鼻トンネルが工事中だ。

一方、高屋トンネルは陸羽西線の古口~高屋間にある第2高屋トンネルと交差し、線路のすぐ下を通る。国交省は学識者などで構成される委員会を設置して工事の安全対策を検討。この検討結果を受けJR東日本と協議していた。

国道47号高屋道路の高屋トンネルと陸羽西線第2高屋トンネルの位置。【画像:国土交通省】
トンネルの横断面図。計画では3mほどしか離れていない。【画像:国土交通省】

山形河川国道事務所によると、高屋トンネルは陸羽西線第2高屋トンネルから約3mしか離れておらず、慎重に掘削を進める必要がある。当初は列車を運行しながら工事することが考えられていたが、掘削期間中の安全確保を図るため陸羽西線を全面的に運休し、安全性・施工性の向上を図ることにしたという。

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